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| 月刊 IRONMAN |
※編集者注:この記事は月刊アイアンマンマガジン2001年7月号(No.132)に掲載されております。また、このインタビューは2001年3月6日に行われたものです。
インタビューは下記略称にて掲載。
MC: マーク・コールマン
DH: デービッド・ホルトン(インタビューアー)
はじめに
初めてマーク・コールマンと会見する前、正直言って少なからず心配だった。この男が、強烈、且つシステマチックに世界屈強の男達をなぎ倒しているのを見て、おのずと不安感を覚えたからだ。会ってみるとそんな心配は無用で、マーク・コールマンは言葉使いも上品で表現力豊かな36歳。結婚して二児の父親でもある。見識があって思慮深く、全ての点で紳士だった。僕が最に抱いた彼の人格判断を伝えると、「狂暴な精神異常者だなんて思わないで欲しいな。僕はプロのアスリートで家族を養うためにホントに一生懸命働いてるんだよ。」と言われてしまった。
インタービュー
DH:ノーホールズバード(NHB) ファイティングに入ったきっかけは?
MC:子供の頃はフットボール、野球、それにレスリングをよくやった。父親がレスラーで、僕は10歳の時にレスリングを始めたんだ。小さい頃から僕は競争心が強くて、チームで一番でなきゃ気が済まなかった。レスリングは個人競技だから、強くなるのにチームメンバーに頼らなくても良い点が僕の気に入ったんだね。
格闘技を始めたのは1996年。それまで7年程も UFC (Ultimate Fighting Championship アルティメート・ファイティング・チャンピオンシップ)をテレビで見ていて、やってみたいと思ってはいたけど、アマチュア・レスラーのキャリアを重視してはまり込んでいたんだ。1996年にオリンピック予選の準決勝戦で敗れてしまったが、その30日後にUFCから誘いがかかり、受け入れることにしたんだよ。それで数ヶ月のうちにオリンピックレスラーからNHBファイターに
早変わりしたって訳さ。
DH:そんなに速く順応するなんて一大変化だったね。
MC:そうさ。全然違うスポーツなんだから。実際、僕の最初のファイティングはUFC10で、その夜は3回試合をしてチャンピオンになった。当時他のUFCファイターに対して優位の差を付けたのは僕の受けた秩序正しい訓練のためだったと思うよ。それがこのスポーツのレベルアップに貢献した。たった一ヶ月のトレーニングでトーナメントに優勝したんだから、うまく順応したって言えるだろうね。
DH:試合に当たってのゲームプランは?
MC:振り返って思えば、あまりテクニックなんて持ってなかったよ。基本的にレスリングの技能を使って相手を落とし、相手が降参するまで頭突きとパンチの組み合わせに頼っていただけだった。頭突きが禁止になるまではこのゲームプランは非常に有効的だったね。今じゃ頭突きは反則だから、もっと戦略とグラップリングを使うことを余儀なくされてるけど、これはこのスポーツにとっては良いことだと思ってるよ。
DH:UFC10で接戦した相手はいる?
MC:身体の部分で傷めたのは手だけだったね。僕はどの相手よりも身体がずっと大きく、力も強かったんだ。ビッグ・ダディ・グッドリッチ(ゲーリー・グッドリッチ)を7分位でタップアウトさせて、続いて時のチャンピオン、ドン・フライを11分で負かした。
DH:日本のプライドとの関係のキッカケは?
MC: UFCで優勝してからプライド側から連絡があったんだ。新しい格闘相手で自分の技能を試す機会でもあり、以前から行ってみたかった国に旅行するチャンスでもあったから待ってましたとばかり飛びついたよ。
DH:毎回試合や格闘相手、それぞれに合わせてどんな準備をするのかな?
MC:特別に特定の相手を意識したトレーニングはしない。ただ、自分の弱点に焦点を当てて集中するだけさ。格闘技を始めた頃は、まだ他の格闘テクニックを受け入れる気がなくてレスリングとウェイトトレーニングだけに絞っていた。今じゃ、できるだけ多彩な人達から、できる限り多くを学んで自分の弱点に焦点を当てるトレーニングしているよ。立ち技を磨く為にもボクシングやマイタイキックボクシングもやってるんだ。
次の試合の相手のビデオを観ることもあるけど、僕はそういう物に余り頼らない様にしている。このスポーツじゃ、ファイターは常に変化し、改善して行くものと期待しているからね。ファイターは毎回の試合に臨んで、スタイルを変えて行かなくてはならないんだ。
DH:他のファイターと一緒にトレーニングしたことはある?
MC:幸運なことに、僕にはこのスポーツ界でベスト と言われる人達から一緒にトレーニングしてお互いから学ぼうという申し出がたくさん来るんだ。その中で一緒にトレーニングしたのは、ケン・シャムロック、ジェイ・ボウランダー、それにジェレミー・ホーンなど、技能の確かな連中だね。最近じゃ、ビッグ・ダディ
(ゲーリー・グッドリッチ)がギルバート・アイブルとの試合に備えるのに、グラウンドワークとレスリングの技を一緒にトレーニングしたよ。 相手は世界一危険なキックボクサーだからね。
DH:残念ながら君から学んだはずのグラウンドテクニックは見ることができなかったね。
MC:正直言ってかなりイライラさせられたよ。最初のゲーム プランに全然従わなかったんだから。すぐさま素早く動いて相手を落とす計画だったんだが、リングに上がったとたんにゲームプランなんか役に立たなくなることだってあるんだよ。ビッグ
ダディはちっとばかり近寄りすぎたんだね。スネで一蹴りされりゃノックアウトだよ。
DH:日本人ファイターとトレーニングしたことは?
MC:まだないよ。やりたい相手は色々いるけど、難しい立場だよね。いずれその相手と試合する時が来るかもしれないだろ?是非一緒にトレーニングをしてみたいのは桜庭和志だね。彼は他の誰よりも一段上を行ってる様だし、ゲームを多角的に知り尽くしている。
きっと面白いことになると思うよ。
DH:ということは、一番試合をしてみたい相手は桜庭ということかな?
MC:試合だって! とんでもないよ。桜庭を相手にはしたくない。彼はミドル級だし、彼の試合を観るのが気に入ってるんだ。誤解しないで欲しいが、もし試合のオッファーがあれば喜んでやりたいよ。だけど僕が彼より20kgから25kgも体重が上というのは不公平だと思う。彼は今のファイターの中ではベストだから確実に厳しい試合になるだろうが、ミドル級のファイターがヘビー級と対決する時、よくあちこち傷めたりするだろう。桜庭はこのスポーツを興味深いものにし、個性をもたらしてくれる人物だから、僕は彼にいつまでもファイトを続けて欲しいんだよ。
DH:OK。じゃあ、ヘビー級で近い将来闘ってみたい相手は?
MC:僕は相手を選り好みしないんだ。ファンが僕に挑戦して欲しいと思う相手で、タイトルの為に強い闘志を見せる相手なら誰でもいい。今この世界には若くて強いファイターがたくさんいるよ。例えば
ヒース・ヒーリングやイゴール・ボブチャンチンなんかだね。ボブ・チャンチンはリマッチの価値はあるし、ファンもそれを期待していると思う。
DH:君と藤田和之の試合を観たいというファンは多いと思うけどね。僕は絶対観たいよ。
MC:そうだね。彼は日本人としてはでかくて強いレスラーで、多分今の日本のヘビー級ナンバー
ワンだろう。藤田は最近確実に勝利を収めて来ているから、そのまま勝ち抜いて行ってくれればいずれは勝負をする時が来るだろうね。
DH:君のキャリアで一番素晴らしいと思った瞬間のことを話してもらえるかな?
MC:そりゃ、プライドグランプリの決勝戦で、24分マークでイゴール・ボブチャンチンがタップ
アウトした時だね。 あれが僕の今までのスポーツ人生での最高の瞬間だったよ。
DH:僕がその試合をみた時、君がボブ・チャンチンの頭に膝蹴りを入れる毎に身が縮む思いだったよ。早くタップアウトすれば良いのにと願ったね。
MC:僕だってそうだったよ! 10回位蹴ったあたりでやつの頭で膝を傷めてしまったよ。18回でやっとタップアウトしたんだから。
DH:プライドグランプリの前には2、3度君らしくない敗北を経験したようだけど、その後、何がキッカケでカムバックができたのか聞かせてもらえるかい?
MC:僕が敗北を味わったのは、自分のレベルに一人よがりの自己満足をしてしまったことが災いしたからだと思うんだ。いつだって一段上に到達することを目指していなきゃならない。
そのことに気が付くだけで良かったんだよ。どんなスポーツでも、チャンピオンになろうと思えば、目標達成のために完全に専念しなくちゃいけないね。だから僕も気を散らす物は全て排除して、プライド
グランプリの準備の為に8ヶ月間も信じられない位の強行なトレーニングをしたんだ。もう一つ非常に役に立ったことは、エリック・セラノ博士についてダイエット、トレーニング、サプリメントの摂りかたなどを学んだことだね。
DH:セラノ博士はボディビルダーの間では筋肉増強とか、競技用ダイエット作戦などに不思議に良く効くアドバイスをくれることで知名度の高い専門家だよね。
マークは最善の筋力、持久力、それに柔軟性を必要とするアスリートとして、セラノ博士からどんな指導を受けたの?
MC:セラノ博士はホントに素晴らしいドクターだよ。たまたま同じ街に住んでいることに感謝してる。僕が栄養とかサプリメントに関して持ってる知識は全て博士から教わったと言ってもいい位だ。彼の指導で、高プロテイン、中程度の脂肪と炭水化物のダイエットをしているよ。博士が僕のプログラムに組み入れるサプリメントはすべて摂っている。それには、博士の開発したプロテイン
パウダー、グルタミンとBCAA 配合パウダー、それに新製品のアミノ酸サプリメントなんかがあるね。グルタミンとBCAAはワークアウト中に飲んで、アミノ酸はウェイト
トレーニングの直後に摂る。 こういったサプリメントは体脂肪を増やさずに筋肉を増強するのに非常に効果をあげているよ。
DH:栄養摂取のプランは一年中同じもの?
MC:少し変えてみたりはするけどね、僕のやるトレーニングでは簡単に脂肪を燃やすことができるんだ。ダイエットで減量する必要のあるボディビルダーは尊敬してしまうよ。僕は幸いその必要がないからね。僕は身長6フィート1インチ(186cm)で、今体重が240ポンド(109kg)ある。
3月19日の試合に向けて準備中で、それまでに10ポンド(4.5kg)減量するつもりだ。
DH:ボディビルディング競技には興味がある?
MC:少しはね。
DH:じゃあ、好きなボディビルダーは?
MC: (インタビューはアーノルドクラッシックの会場で行っていたので、フレックス
・ウィーラーの写真を指差して) ロニー・ コールマン!(笑)
DH:ハッハッハ!なるほど。(笑)
ところでどんなウェイトトレーニングプログラムをしているのか話してもらえるかな。
MC:常にルーティーンを高度に変えて行く努力をしているよ。長い間試合がない時は、サイズと筋力の維持のためにヘビートレーニングをしてできる限りデカく、強くなるように心がけるんだ。
厳格にセットやレップ数を決めたプログラムはないよ。 身体の一部分ずつ大抵合計6〜9セットやる。 レップは数えないで、身体が動かなくなって完全に参ってしまうまでひたすらエクササイズするだけだよ。僕のエクササイズのベースはスクワット、ベンチプレス、バーベル
ローイングなんかの基本的なもので、これが最大の筋力とサイズの増強につながるんだ。
DH:試合の準備ために、ウェイトトレーニングのプログラムを変えることは?
MC:試合の日が近づいてくると、ウェイトトレーニングは減らして重量も軽いものを使い、持久力向上に集中する。フリー
ウェイト エクササイズで15〜20レップできるくらいの重量を使うのが普通だね。リング上での経験から、サイクリング マシンの様な普通のエアロビック運動では僕が必要とするタイプの心肺コンディショニングはできないことが分かったんだ。爆発的瞬発力が出るような心肺運動が必要だった。何分間も連続して力限りの強いパンチやキックができるようなヤツをね。それをできるような運動を2つほど自分で考え出したんだ。登るのに2分くらいかかる長くて急な坂道を見つけてね、勾配がすごくきつい坂で、それを出せる限りのスピードで走って上がって、ジョギングしながら降りてくる。それを10回位繰り返すのさ。
最後のサーキットを終える頃には大抵吐いてしまうんだよ。それからうちのファイターのケビン・ランドルマンに15ポンド(6.8kg)のメディスン・ボールをジムのあちこちに投げさせて、僕がそれをイヌみたいに取りに走るんだ。
これも動けなくなるまでやって、最後は大抵吐いてしまうね。
DH:かなり強烈だね。
MC:試合相手も同じように激しいトレーニングをやってることを常に念頭に置いてるんだよ。
DH:将来の目標は?
MC:今ジムの共同経営の交渉中なんだ。将来これを一般に開放したいと思ってる。僕のところでトレーニングしたがっている世界中の人達から、僕宛てにEメールがワンサと届くからね。
NHBを終えたら、プロレスをやってみるかも知れないよ。つい最近日本でマーク・カーとタッグ チームをやったんだが、すごく面白かったから。
ま、成り行きを見てみるよ。
DH:次に日本に来るのはいつかな?
MC:リコ・ロドリゲスとの試合が3月19日に予定されていたんだが、彼が手を引いてしまったんだよ。彼に代わる位のタフな相手を早く見つけてくれるよう願ってるところだ。
DH:日本で一番エンジョイすることは?
MC:日本の人達の僕に対する態度すべてだね。 ファンも主催者も、恐縮するくらいホントに良くしてくれるんだよ。
それに日本食も好きだよ。
DH:寿司は?
MC:寿司はアメリカでも僕の大好物さ。 日本へ行った時はいつも腹一杯食べるよ。
DH:あのくるくる回ってる寿司かい?
MC:いや、皿にも入ってないやつさ。 カウンターで作って差し出してくれるやつだよ。
DH:ラッキーだな! (僕自身ホンモノの寿司は高くて、安い回転寿司しか食べてない)
日本でもプライドやその他の格闘スポーツの人気が高まっているけど、このスポーツでチャンピオンを目指す人達へのアドバイスは?
MC:まず、全ての面で完成していなくてはならないね。レスリングやキックボクシングができて、サブミッション
ホールドを全部知ってる必要がある。苦労を覚悟で良いコーチを見つけることだよ。どんなスポーツでも、チャンピオンになるには何よりもフォーカスを定めて極端な程専念し、110%の努力をすることが必要だ。チャンピオンとただの競技者の違いは精神面にあるんだよ。
DH:日本のファンへのメッセージはあるかい?
MC:日本の皆さん、引き続き応援をよろしくお願いします。
アスリートにとって日本のファンのサポートはとてもありがたいんだよ。僕は好調だし、意欲もある。この先長くプライドのチャンピオンの座を守るつもりだよ。
DH:ありがとう、マーク。楽しいインタビューだったよ。
MC:こちらこそありがとう。
| 【マーク・コールマン プロフィール】
★ニックネーム:ザ・ハンマー
★年齢:38歳
★生年月日:1964年12月20日
★在住地:オハイオ州コロンバス
★身長:183cm
★体重:116kg
★スタイル:フリースタイルレスリング、修斗、キックボクシング
★家族:妻、子供2人
★ファイティング暦:
・オールアメリカンヘビーウェイトチャンピオン(過去2回)
・パンアメリカンゲーム金メダル獲得(過去2回獲得)
・ワールドゲーム銀メダル獲得
・USオリンピック・フリースタイル・レスリングチームメンバー(1992年)
・UFC(アルティメイト・ファイティング・チャンピオンシップス)チャンピオン(過去3回)
・PRIDEグランプリ2000チャンピオン |
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