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サプリメントとステロイドの隔たりを埋める
経口活性ホルモンの開発
By ビル・リューリン Bill Llewellyn

 私の会社Molecular Nutrition(モーレキュラーニュートリション)を含め、サプリメント製造会社がステロイドエーテルやエステルを製造できると分かった時、私はひどく興奮した。まだご存知なければ、これは間違いなく最もパワフルな筋肉増強を保証する新しいプロホルモンデリバリー技術なのだ。親油性エーテルが市場に登場し、経口バイオアベイラビリティーの低いプロホルモン サプリメントの真に効果的な解決策としてもてはやされている。そしてこの技術は本当に素晴らしい可能性をもっているのだ。ただし、「正しく使用すれば」の話である。

1−テストステロン
(5a-androst-1-ene-3-one,17b-ol)

 この業界は長らく経口投与にまつわる問題の解決策を求めてきた。最初の有意義な改良は、私の友人パトリック・アーノルドによるもので、彼はサイクロデキストリンタブレットを開発し、その後持続放出のスプレーを開発した。けれどもこれらのデリバリーはなにぶんにも不便であり、エーテルが手に入るようになった時、私はこれこそ技術を進歩させるものだと感づいた。そして他の会社がこの技術を適切に応用しないというヘマをやらかしそうなのに気付いた時、前にもまして興奮してしまった。他社が新製品を発売しはじめた中、私は裏でこつこつと研究を続けた。私は他社がしているようにただカプセルに粉末を詰めるのではなく、エーテル化した油溶性プロホルモンの一連のソフトジェル カプセル製品の開発に非常に骨を折った。私のEthergel(エサジェル)シリーズのユニークなデザインを鑑みて、ここで私がこの様な製品の開発に至った理由と、プロホルモンサプリメントを選ぶなら当然この製品と言えるのはなぜなのかを詳しく説明したいと思う。

これまでの経口プロホルモンはクズ同然だ!
 1996年に初めてアンドロステンジオンカプセルが発売になった時、テストステロン値の極めて高いしかも合法的なサプリメント(そして違法ステロイドに代る最初の物質)が現れたことに大きな期待が寄せられた。しかしこれが最初に考えられた程の効果がないとアスリート達が気付くのに 長くはかからなかった。 「アンドロ」カプセルは我々が期待したような効果を見せなかったのだ。その後の研究でようやくこのサプリメントが一体どうなってるのかが解明され、血中テストステロン濃度をわずかでも上昇させるには多量の用量が必要なことが分かった(1)。こんなお話にもならない僅かなテストステロン濃度の上昇では筋肉増大は望めない。そしてもっと悪いことに、アンドロステンジオンは目的のホルモンであるテストステロン以上にエストロゲン濃度を上昇させることが分かったのだ。アンドロステンジオンの最初の失敗、少なくとも血清テストステロンの上昇に関する不成功は、続いて絶賛されて登場したアンドロステンジオールでも同じく繰返された(2)。このプロホルモンもまた、比較的高用量の経口投与にもかかわらず血中テストステロンをほとんど上昇させることはなかった。

 もちろん今では、これは肝臓における過酷な初回通過の急速な代謝過程で、天然ステロイドの活性成分が用をなさなくなってしまうためだという事が解っている。この過程で殆どのプロホルモン物質は体外から排泄されるべく処理され、活性ステロイドとして血流に到達することがないのだ。しかしこの問題は予期されるべきものだった。テストステロンが初めて人工合成されたのは1930年代だが、早くも1939年には科学者は、このアンドロステンジオンは経口投与しても効果がない(3)ことに気がついており、経口薬剤としての使用から除外している。同様に、そうしたテストステロンそのままの製品も市販されたことはない。医薬品の開発者は効果的なテストステロンの経口薬を作るには、ステロイドを肝臓での代謝から保護する必要があることを早くから知っていた。これは今までの伝統的なプロホルモン物質に関してもなおさら同じことが言える。強調すべきことは、それらのプロホルモンが経口サプリメントして効き目がない理由は、60年も前に効果がないと決定されたやり方にずっと頼ってきたからなのだ!!

経口活性改善の第一号、17-アルファアルキル化
 ステロイドの研究が最も盛んだった頃、分解されずに肝臓を通過するステロイドを作るいくつかの効果的な方法が開発された。その最も重要なものは17位の炭素にメチル基やエチル基を加えて(これは代謝の主要経路を阻害する)ホルモンを保護するやり方を中心としている。こうして開発された最初のステロイドはメチルテストステロンで、その後Nilevar、Halotestin、 Anavar、Dianabol(すべて商品名)などをはじめいくつかの経口ステロイドが次々と現れた。これらの薬物はすべて非常に効果的な経口ステロイドであるが、肝臓機能に対する有害効果の可能性があり(4)、理想的な解決法とは言えない。このため今日では医療分野でごくわずかに使われているに過ぎない。また、この技術をナチュラルで合法的なサプリメントの製造に使用できないのは、その過程で作られる物質が「天然に存在」すると見なされないからである。

リンパ系を介するデリバリーで肝臓をバイパス
 1960年代、1970年代になってもまだ、17-アルファアルキル化でなく、肝毒性のリスクのない経口ステロイド開発の努力は続けられた。中でも成功を収めた概念は、肝臓を完全にバイパスするという考え方であった。そうするには、ステロイドが生体に吸収される方法を変え、ステロイドが通常の経路でなくリンパ系を通って体循環に取り込まれるようにしなければならない。リンパ系は食物脂肪の吸収と分配を司り、これらの栄養素が肝臓を通過せずに末梢組織に届くよう腸からリンパ節に運ぶ働きをする。しかしこれを効果的に行うには、物質にカルボキシル酸エステル基(通常注射剤の製造に使われる)またはエーテル基を加えて脂溶性を大幅に高める必要がある。ここでは一応、エステルとエーテルは基本的に同じものとしておこう。構造的にこの二つを加えることの重要なポイントは、これらは両方ともステロイドの脂溶性を高めるもので、その結果食物脂肪と共にリンパ系に吸収される率が高まり、それが血流内でエステラーゼ酵素の働きによって遊離し、損なわれないままの活性アナボリックホルモンが供給されることである。
 最終的には二つのリンパ系デリバリーステロイドが開発され、製薬会社によって販売された。一つはエノールエステル化したボルデノン(quinobolone)を含むAnabolicum Vister(アナボリカムビスター)、もう一つはテストステロンのundecanoateエステルを使用したAndriol(アンドリオール)である。Quinboloneはイタリア製ステロイドで関連データは入手し難いが、Andriolは広く研究され、英文の医学ジャーナルに発表されている。それらの研究結果は一貫してAndriolがこれまで開発され市販された経口テストステロン製剤のうち、唯一効果的な製品であることを証明している。この技術の妥当性が疑わしいというなら、1975年Acta Endocrinologica誌に発表された研究(5)をご覧になるとよい。この研究は、油脂に溶解したテストステロンundecanoate100mgを経口投与した時のテストステロン反応を、それに相当する遊離テストステロン(63mg) の経口投与に対する反応と比較したものだ。遊離テストステロンではテストステロンの血清濃度に何ら顕著な効果は見られなかったが、テストステロンundecanoate(エステル化学修飾、オイル溶解)では1回の投与で2.3倍の増加が認められたことが報告されている。

プロホルモンにおける新技術の実用化


水vs.ゴマ油
リンパ系へのホルモン吸収率

 幸いなことに、FDAはエステルやエーテル化学修飾プロホルモンもオリジナルのプロホルモン同様合法的と見なしている。FDAはこの様な化学修飾は栄養素のデリバリーを改善するための技術と考えており、新しい合成プロホルモンの創造に等しいものとは見なしていない。ようやくのことで経口活性プロホルモンを開発するためのテクノロジーと法的自由を得たわけである。
 残念ながらプロホルモンを製造する殆どの会社は早まって、この技術を充分に理解しないままプロホルモンに応用してしまった。上述した二つのリンパ系デリバリーによる ステロイドには油溶性が高いことを別にして、共通する非常に重要な点が一つある。それはステロイドの担体として油脂を使用し、ゼラチンのソフトカプセルに入っている点だ。リンパ系に取り込まれる油脂に直接ステロイドを溶解するのが、吸収率と経口アベイラビリティを高める最善の方法であることは早くから知られていた。これは実際このタイプの製品では最も重要なことである。
 ざっとどの位の違いがあるかは、異なる担体がエーテル化学修飾の抗エストロゲン薬メピチオスタンの吸収に及ぼす効果を比較した研究結果(6)を見れば分かる。この研究は、ゴマ油に溶解した物質は、単なる水溶液に溶解した時よりもリンパ系への吸収が5.5倍も高いことを示している(7.5%に対し41.2%)。事実、油性溶媒なしにはメビチオスタンの吸収があまりにも低いことから、エーテル化学修飾プロホルモンはそうした担体なしに実際に効果があるのかどうか疑わしい。 ただ一つ確かな事は、普通のカプセル入り、またはタブレット状のエーテルやエステル化学修飾プロホルモンは、リンパ系デリバリーによるステロイドの本来のデザインに基づいて製造されていないことだ。そしてそのために、油脂に溶解したジェルカプセル入りプロホルモンよりも経口サプリメントとしての効果ははるかに劣っている。

科学的に調製したエサジェルを初めて世に送り出した会社

1-Tエサジェル

― Molecular Nutrition −

 私がMolecular Nutritionの、Ethergel(エサジェル)ソフトジェル 製品ライン(エーテル化学修飾型1-テストステロン、4-アンドロステンジオール、19-ノルアンドロステンジオールを含む)の研究と開発に多大な時間と経費を費やしたのは、販売効果をねらった人目をひくパッケージを創作するためではなく、与えられた技術をフルに活用するためであった事はお分かり頂けたと思う。私はリンパ系デリバリーによるステロイドのデザインに忠実に従った製品を作りたいと思い、できなければ開発を諦めるつもりだった。スポーツ サプリメント市場における最も経口活性の高いプロホルモン製品を開発したことで、私がついにこの目的を達成したことに議論の余地はないだろう。

 

[参考文献]
1 Effect of Oral Andtostenedione on Serum Testosterone and Adaptations to Resistance Training in Young Men. King et al. Jama 1999;281 2020-28
2 In vivo 4-androstene-3,17-dione and 4-androstene-3b,17b-diol supplementation in young men. Earnest et al. Eur J Appl Physiol (2000) 81: 229-32
3 Foss G.L.: Lancet 1 (1939) 502.
4 Methyltestosterone, Related Steroids, and Liver Function. De Lorimier et al. Arch Inter Med (1965) 116:289-94
5 Plasma androgen levels in men after oral administration of testosterone or testosterone undecanoate. Nieschlag et al. Acta Endocrinol 79 (1975) 366-74
6 Effect of oily vehicles on absorption of mepitiostane by the lymphatic system in rats. Ichihashi T, Kinoshita H, Takakishi Y, Yamada H. J Pharm Pharmacol 44 (1992) 560-4

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