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食べる量は分かったところで次は?
体を大きくするためには食事における三つの重要ポイントの微妙なバランスに気をつけなくてはならない。パートIで述べたようにエネルギーバランスはたったひとつである。しかしこのエネルギーバランスに神経を集中させてしまったがために、ホルモン、代謝そしてエネルギー貯蓄への食事の影響の大きさを無視してしまっている人がいる。カロリーバランスのみが身体組成を決めるという考えでは物事を単純化しすぎている。
目標達成のひとつは脂肪増加率に対する筋量増加を最大化させることで、つまり脂肪の増加を最小に抑えながらできるだけ多くの筋肉をつけることである。従ってどの食物の組み合わせを取り入れ、どの組み合わせを避けるかを理解する必要がある。ここでの私のアドバイスは脂肪増加を抑えながら筋肉をつけたい場合に起こりうる、最悪の事態回避を念頭においている。そしてそれは、血中の炭水化物、脂肪それからインスリンレベルを同時に高く保つことである。
しかしこれは全く望ましくない。インスリン値が長時間高まり続けると脂肪や炭水化物が脂肪細胞に送られる割合が増えるからだ。本来インスリンは栄養を筋細胞に送りつづけるのだが、長い時間にわたってインスリン値が高まると筋肉はインスリン抵抗性を持ち始め栄養を受け入れなくなる。これに対し脂肪組織はすばやく栄養を取り入れるようになるのだ。もし常に血中のインスリンが脂肪や炭水化物とともに高いという人は、筋肉の栄養摂取が遅くなり脂肪と炭水化物は全部脂肪細胞に吸収されてしまう。
ここで慌ててインスリンを取り除いてしまう前に、インスリンは同化作用が強いということを知っておこう。回復と成長のため、炭水化物やアミノ酸を筋肉に運ぶ役割があるインスリンは必要であるのでそれをうまくコントロールしなければならないということだ。インスリンの上昇を促すために食事をとる時は血中に理想的な多量栄要素(プロテイン、炭水化物、脂肪)のベースがあることを確認し、間違いなくこのインスリンの上昇が脂肪でなく筋肉の増加をもたらすようにする。こういったわけで食事の組み合わせ方は非常に大切なのだ。
それでは避けなくてはならない食事の組み合わせを紹介しよう。
1.脂肪と炭水化物をいっしょに取らない。
残念なことにこれは典型的なアメリカンダイエットでその結果が今日のアメリカにおける肥満の蔓延だ。実際、高脂肪と高炭水化物の組み合わせは、別々に取るより、協動作用的にインスリンの分泌を助長する(分泌されるインスリンの量が多くなる)。高脂肪と高炭水化物のコンビによって最悪の結果がもたらされる可能性がある(まいったなあ、大好物のラーメンとチャーハンの食べる量を減らせってことか...編集者のぼやき)。
脂肪は食物のGI(グリセミック指数)を下げるので炭水化物といっしょに取るべきだと訴える人たちもいる。しかしGIはインスリン反応でなくグルコース反応への対策になるだけであることを覚えておいてほしい。食事に対するグルコース反応とインスリン反応の相互関係は時々上手く成り立たない。食事に脂肪を加えることによって血中へのグルコース吸収を遅らせたとしても血中の脂肪、炭水化物、インスリンのレベルは上げていることになる。それは非常にまずい。
2.炭水化物だけが多い食事を避ける。
皮肉なことに肝臓は余分な炭水化物を脂肪に変換させるため、高炭水化物の食事により血液中はあたかも高炭水化物と高脂肪の食事を食べたかのようになりうる。従って高カーボダイエットは高脂肪とカーボのコンビダイエットと同様成功しない。高炭水化物は血中の脂肪、炭水化物、インスリンのレベルをたやすく引き上げるからだ。
これでどの組み合わせが悪玉となるかがわかっただろう。それでは良い組み合わせを見てゆこう。
1.プロテインとカーボ(それと最小限の脂肪)を含む食事をとる
リサーチ界では周知のことだがカーボとプロテインを同時に摂取すると(前述の脂肪とカーボの取り合わせのような)相乗的インスリン分泌を起こす。しかしこの場合、インスリンの分泌はもってこいだ。血中のインスリン、カーボそしてアミノ酸値を高めるべき食事を1日2〜3回とることにより、体はそれらのカーボ、アミノ酸をプロテインやグリコーゲン生成のため筋細胞に送り込みつつ非常にアナボリックな状態になる。脂肪細胞に貯蓄される程の余分な脂肪はないので脂肪の増加は最小限に抑えられる。
察知のとおりこの組み合わせはポストワークアウト期間には有効であるが、1日に1〜2回血中のインスリンレベルを上げる機会を追加した方がバルクアップオフ中のアナボリズムを促進できる。繰り返すが1日中インスリンを上げ続けない限りインスリン抵抗性にならない。
脂肪は増加しないとしても高インスリンレベルは脂肪の分解(リポリーシス)の妨げになるのではないかと懸念する人がいるだろう。確かにその通りなのだ。だがほとんどの食事(ある特定のプロテインしか含まないというのでなければ)は脂肪分解の妨げになる程度までインスリン値を上げざるを得ないことを理解しておいてもらいたい。少量のインスリンしか出さないという特別のプロテインだけを扱ったケトジェニックダイエットを行わない限りそれは避けられない。ケトジェニックダイエットは筋肉増加には無効である。しかもここではオフシーズンにいかにバルクアップするかが課題なので、バルクアップ後のダイエット期間まではケトジェニックダイエットは必要ないだろう。あくまでも筋肉増加がゴールであるから、1日に2〜3回のアナボリズムの食事は必要で、そのためには最小量の脂肪、プロテイン、カーボを取る。
2.プロテインと脂肪(それと最小限のカーボ)を含む食事をとる
インスリン分泌、プロテイン合成の促進、カーボ貯蓄を高めるような食事を毎日とるのが理想であるが、取りすぎてはいけない。理由は先にも述べたもの(インスリン感受性と脂肪燃焼防止を下げる)のほかにも、1日中プロテインとカーボの食事を取っていると健康や望ましい身体組成に重要なEFAs(必須脂肪酸)のような脂肪分の摂取を妨げることになる。
1日2〜3回のカーボ・プロテイン(および最少量の脂肪)食事に2〜3回のプロテイン・脂肪(および最少量のカーボ)食事を加えるとバランスがとれる。バルクアップのためにはどの脂肪を摂取すれば良いか迷うような場合はそれぞれの主な脂肪酸クラス(多不飽和、単不飽和、飽和)から30%ずつ取りこもう。この例は後に示す。
おさらい。プロテイン・脂肪の組み合わせの目的は脂肪分解の妨げとなるようなインスリン分泌を引き起こすことなしにエネルギーとアミノ酸を供給すること。加えて、カーボ抜きの脂肪の多い食事の後は、体はより少ないカーボを酸化し(カーボの大半は貯蓄に回されグリコーゲンとして筋肉に残る)、エネルギーを作るためにより多くの脂肪が燃焼される。脂肪はエネルギーのために燃焼されカーボは筋肉に蓄積されるということだ。
正しい組み合わせの食事によって食物の体への有効性が俄然高まるということがよく分かっただろうか。1日に何回かプロテインと脂肪を一緒に食事でとり、1日一定時間、脂肪を燃やす。同様にプロテインとカーボも別の食事の際に一緒にとり、1日の他の一定時間に筋肉をつける。
これ(体脂肪を減らしながら同時に筋肉もつける)は不可能だと言う専門家もいるがこれらの食事を組み合わせれば、バルクアップ期間であろうとダイエット期間であろうとトレーニング期間中に脂肪を落としながら筋肉増加は可能なはずだ。
食事の組み合わせ参考例
栄養に関する記事を読んで「結局何を食べればいいってことだ?」という疑問が残ってしまうのはもどかしくないだろうか。そこで"バルクアップ"プログラムに続く典型的な食事例を以下で紹介しよう。
プロテイン+カーボ食事例(脂肪は5g未満に抑える)
| 例1 |
・オートミール一食分に2さじのプロテインパウダーを混ぜたもの
・バナナ一切れ
・スキムミルク1カップ |
| 例2 |
・MRP(Meal Replacement Powder)1杯 |
| 例3 |
・ツナ1缶
・スキムミルク1カップ
・全粒パン2切れ
・野菜 |
| 例4 |
・卵白8コ
・オートミール1食にプロテイン1さじ混ぜたもの
・全粒パン1切れ
・無脂肪チーズ1切れ
・野菜 |
| 例5 |
・スキムミルク2カップ
・プロテイン1さじ
・果物2切れ |
[適したカーボとプロテイン源]
| カーボ: |
リンゴ、オレンジ、オートミール、オールブランシリアル、野菜、白パスタ、フラックスブレッド、山芋 |
| プロテイン: |
鶏肉、ホエイ、カゼイン、ターキー、卵白、スキムミルク、ツナ、コテージチーズ |
プロテインプラス脂肪食事例(カーボは10g未満に抑える)
| 例1 |
・サーモン1缶
・水に溶かしたプロテインパウダー1さじ
・野菜
・濃縮魚油サプリメント大さじ1 |
| 例2 |
・224gから336gの牛赤身
・無脂肪チーズ
・オリーブオイル大さじ1
・野菜 |
| 例3 |
・ツナ1缶
・プロテインパウダー1さじ
・野菜
・濃縮魚油サプリメント大さじ1 |
| 例4 |
・水に溶かしたプロテインパウダー2さじ
・亜麻油1さじ |
[適した脂肪、プロテイン源]
| 脂肪: |
濃縮魚油(PUFA-omega3)、亜麻油(PUFA-omega3または6)、オリーブ油(MUFA)、キャノーラ油(MUFAまたはPUFA)、ナッツ類からの脂肪(MUFAまたはPUFA)、牛肉や卵からの脂肪、動物油(SFA) |
| プロテイン: |
牛肉、サーモン、ホエイ、カゼイン、ターキー、全卵、豚肉 |
インスリン感受性と個人差
最後の章では1日6回の食事を3回のプロテイン・カーボの食事と3回のプロテイン・脂肪の食事に分けるよう話した。カロリーを出来るだけ摂取しながら脂肪増加は最小に抑え、筋肉増は最大にしたいという場合のほとんどは上手くいくプランだ。しかしトレーニングに個人差があるように栄養に対する体の反応も個人差がある。従って万人向けの1つのプログラムを紹介して終わりにするのでなく、各自が自分に合った食事プランが立てられるようアドバイスを加えたい思う。
異なる栄養摂取に対する反応を司る要因はさまざまだが、主なものはインスリンとグルコース寛容がある。個人的にインスリン感受性は体にどのようにカーボを処理するか命令を出すので最も重要であると思う。インスリン感受性が高い人はカーボ摂取に対してインスリン分泌が低くなる。しかし細胞はその少ないインスリンに敏感に反応するのでちゃんとアナボリック状態になる。しかも多量のインスリンは脂肪減を抑制するからインスリン感受性が強いのが理想だ。
経験によるとインスリン感受性が高い人は高カーボ低脂肪(カーボ50%、プロテイン35%、脂肪15%)のダイエットで脂肪増加に対する筋量増加の比率を最大に出来る。インスリン感受性が普通の場合は等カロリーダイエット(カーボ30%、プロテイン40%、脂肪30%)が適している。そしてインスリン感受性が低い人は低カーボ(プロテイン50%、脂肪35%、カーボ15%)がベスト。
自分のインスリン感受性が分かったら食事の組み合わせを次のように決めよう:
インスリン感受性が高いなら1日6回の食事に多くのカーボ・プロテインの食事(例えば4回のプロテイン・カーボ、2回のプロテイン・脂肪の食事)を取り入れる。
インスリン感受性があまり良くないならプロテイン・脂肪の食事を多くする。
インスリン感受性
次の質問はおそらく、自分のインスリン感受性をどうやって知るのか。いくつかの方法がある。とても簡単なテスト法を取り入れる専門家もいるが私はこの方法に賛成できない。リンゴ型の体形の人やカーボを摂取した後眠くなる人はインスリン感受性が低いなどというステートメントが出てきたりするのだが、私に言わせればこれではあまりに曖昧で各人の栄養ニーズや進歩の度合いが分からない。
時間はかかるが客観的なメソッドの方が好ましいと思う。
中でも最も手間のかからないやり方はどのタイプのダイエットに一番反応するかをみること。低カーボダイエットが効くなら、おそらくインスリン感受性が低い。カーボをたくさん摂取しても太らないならインスリン感受性が高いといえる。
もっと明確なのを希望するなら胃を空にして行うグルコースとインスリンテストがある。これは医者に行く必要があるのだがちょっと食事を我慢して採血をしてもらうだけなので実に簡単だ。アポイントと取って看護婦さんに採血してもらい血中のインスリンとグルコース値を測ってもらうだけだ。このテストでインスリン感受性と膵臓反応性の値が分かる。
値が分かったら以下の数値と比べて自分の感受性をみてみよう:
インスリン感受性
低い:低いほど感受性が高い
普通:2未満
良い:0.5ぐらい
膵臓ベータ細胞機能
高い:高いほど膵臓機能とインスリン分泌が良い
普通:100ぐらい
良い:200を超える
これらの測定値を得ることによりどのダイエットが自分にふさわしいのかがより確かに分かるので、2,3ヶ月毎にこのテストを受け、現在行っているダイエットやトレーニングのインスリン感受性へ対する効果をチェックすることをお奨めする。
インスリンに対する感受性を高めよう
テスト結果が満足ゆくものでなかったとしよう。つまりインスリン感受性が低い場合。しかし、あまり落胆することはない。インスリン感受性を自然に高める方法がいくつかある。
インスリン感受性を高めるトレーニング
さまざまなメカニズムによりエアロビとウェイトトレーニングはインスリン感受性を大きく高める。この二つをプログラムに取り入れよう。1セッション1〜1.5時間の集中ウェイトトレーニングを週3,4回行うことによってインスリン感受性を急激に上げたケースもあった。これに30分間のエアロビを少なくとも3〜4回組み合わせる。インスリン感受性を高めることにターゲットを絞りたいなら、ウェイトトレーニングと心肺運動は別々に行うのが良い。
インスリン感受性を高めるサプリメント
オメガ3脂肪酸、魚油、アルファリポ酸、クロミウムなどのサプリメントはインスリン感受性を高める働きがある。まずは600mgのアルファリポ酸(ALA)と6〜10gのDHAとEPA(魚油の中で最もアクティブなオメガ3脂肪)含有濃縮魚油からスタートしてみよう。
それからエフェドリンやカフェインのような刺激剤は代謝へ与える影響のためインスリン感受性を下げることを覚えておこう。さらに人気が高まりつつある低カーボ/高脂肪ダイエットも。従って私がトレーニングするボディビルダー達は刺激剤を取らないしカーボ抜きダイエットをやらない(コンテストに向けて減量したい場合はカーボ抜きダイエットを2〜3ヶ月おき、1回の最長3週間やることはある)。
一番はじめの自分のインスリン感受性が理想的なものでなければ上記を試してみよう。そして1〜s2ヶ月後再度テストを行えば数値が良くなっているのが分かるはずだ。
個人差 - 実験
最後の章で自分とインスリンの位置関係が分かったと思うが、どの食事プログラムが自分に最適かを知るには実際試してみるのが良いだろう。8週間、自分の必要エネルギーを超える(パートI参照)カーボ50%、プロテイン25%、脂肪15%ダイエットをやってみるのを奨める。この間、筋肉と脂肪の増加分を記録し筋肉と脂肪の対比をみよう。
それから普段の食事に8週間もどる。8週間後、カーボ30%、プロテイン40%、脂肪30%の新しいダイエットをまた8週間行う。そして筋肉と脂肪の対比を記録する。
これら3つのダイエットを行った24週間後、自分の体に最も合ったダイエットタイプが分かるだろう。ずいぶん長い時間をかけるなと思うかもしれないがこれまでトレーニングしてきた年月、あるいはこれからトレーニングしていこうとする年月を考えれば24週間なんて短いものだ。それにこの努力の結果は一生涯役に立つ。
覚えておこう。食事のプランを立てるときカーボ50%、プロテイン25%、脂肪15%ダイエットまたはカーボ30%、プロテイン40%、脂肪30%ダイエットをするからといっても各食事をぴったりその比率にする必要はない。事実、食事全部がこの比率でないのがいい。そうでなければ望ましくない脂肪、カーボまたはインスリン血中レベルになってしまうからだ。食事の組み合わせのところで私が教えたテクニックを使い、各食事で違った比率の多量要素を取りつつも1日の終わりには目標の比率(40:30:30または50:25:15)になるようプランを立てよう。
まとめ
"バルクアップ"プランをまとめてみた。
| 1) |
パートIを読んで1日の必要カロリーを決める |
| 2) |
脂肪とプロテインそれから少量のカーボから成る食事を取る。また、プロテインとカーボそれから少量の脂肪の食事も取る。カーボだけ食べたりカーボと脂肪を一緒に食べたりはしないこと。1日に6回の食事を取る。 |
| 3) |
自分のインスリン感受性のレベルに基づいた多量要素の比率を求める。私がこの中で紹介したテストを利用するか、プロテイン、カーボ、脂肪の比率を変えた食事を試してみる。インスリン感受性が低いなら先に奨めたエクササイズやサプルメントで対処してみよう。 |
ちゃんとしたウェイトトレーニングプログラムを受けていても筋肉がついてこないなら、その責めを受けるのは恐らく食事法だ。"バルクアップ"プログラムで問題を解決し、あれこれ言い訳を言うのはこれっきりにする。遺伝的な限界や異様な速さの代謝を言い訳に言ってる自分に気づいたらまたここに戻ってきてほしい。"限界"は突き進むための挑戦にもなり前進の妨げになる愚かな言い訳ともなる。
そろそろ何か食べた方がいいんじゃないかい?
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