一般に筋肉というものは「刺激に対する適応」により、発達します。ですから極端なことを言えば、トレーニング初心者のうちは何をやっても発達すると思っていいでしょう。
ただし、トレーニング経験が長くなり、いつものトレーニングによる刺激に慣れてくると、筋肉はそれを"刺激"と感じなくなってきます。ですから継続的な発達を目指す場合は、常に新しい刺激を与えていかねばなりません。
"新しい刺激"とは何か。それは筋肉がいままでに経験したことのない刺激です。例えば普段100kgでベンチプレスをやっている人が120kgで行ったとしたら、それは間違いなくフレッシュな感覚となるでしょう。あるいは普段スクワットを行っている人がレッグプレスをやってみたとき、それも新しい刺激となるはずです。このように、重量やエクササイズ、トレーニング強度、トレーニング頻度、セット数、レップス数などに変化を与えていくことが継続的な発達へのカギとなるわけです。
とはいえ、そのときの気分でトレーニング内容を変えるだけでは最良の効果は得られません。刺激の変化そのものをプログラムしていくことにより、体系的なトレーニング計画を立てるようにしたいものです。
さて、ここでピリオダイゼーションというメソッドが登場してきます。ピリオダイゼーションの定義としては、「試合期に向けてトレーニング内容を幾つかに期分けしていくこと」となります。似ているようですが、「サイクルトレーニング」というものは一まとまりのトレーニング内容を試合期に向けて"徐々に変化"させていくものであり、トレーニング内容を各期ごと、明確な目的のために変えていくピリオダイゼーションとは一線を画します。
一般的ピリオダイゼーションプログラム
一般的なピリオダイゼーションのプログラムとしては、
| Phase 1 |
ベーシックトレーニングにより基本的な体力をつけていく
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| Phase 2 |
パワーアップトレーニングにより筋力の基礎を形づくる |
| Phase 3 |
爆発的運動などを行って試合期に必要とされる爆発的パワー、スピード、アジリティなどを得る |
| Phase 4 |
試合期。それまでにGetした能力を維持するプログラム |
| Phase 5 |
回復期。完全休養の後にアクティブレストとする。 |
このようなプログラムとなりますが、ボディビルの場合に限ればPhase 4は必要ないでしょう。ということで、ボディビル用のピリオダイゼーションプログラムとしては、次のようなものが考えられます。
ボディビル用ピリオダイゼーションプログラム
| Phase 1 |
やや多めのレップスで毛細血管、ミトコンドリア、グリコーゲン蓄積能力などを高める。筋形質の体積を増やすことが目的。
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| Phase 2 |
少な目のレップスで収縮タンパクを増加させるとともに筋力を増加させる。 |
| Phase 3 |
ネガティブ、フォーストレップスなどを利用して筋肉にマキシマムの刺激を与える。 |
| Phase 4 |
完全休養の後、マシンを頻用して筋肉、関節、神経系を回復させる。 |
こういった感じになるでしょう。なお、試合に出る人は、Phase 3 が減量用のトレーニングとなります。
では、これらの各Phaseはどれくらいの期間にすれば良いのでしょうか。チャールズ・ポリクィンによれば、筋肉はだいたい3週間で刺激に適応するとのことです。ですからPhase
1 とPhase 2 は3週間ずつとしましょう。そしてPhase 3 ですがこういった高強度のトレーニングはオーバーワークを招きがちであり、しかも怪我の危険性も増します。よってPhase
3 は2週間とします。回復期間についてですが、完全休養1週間弱、マシントレーニング2〜3週間としましょう。これで十分に神経系、関節の疲労はとれるはずです。
さて、ベンチプレスのマックスが100kgのトレーニーを例にとって、具体的なプログラムを考えてみましょうか。Phase 1〜4まで、トータル11週間ということにして作成します。
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PHASE
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DAY
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WEIGHT/REPS/SETS |
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Phase 1
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Day 1
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75kg/12reps/3sets |
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Day 6
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77.5kg/11reps/3sets |
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Day 11
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80kg/10reps/2sets, 77.5kg/10reps/1set |
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Day 16
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80kg/10reps/3sets |
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Phase 2
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Day 21
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87.5kg/6reps/2sets |
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Day 27
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90kg/6reps/1set, 90kg/5reps/1set |
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Day 33
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92.5kg/6reps/1set, 92.5kg/5reps/1set |
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Day 39
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92.5kg/6reps/2sets |
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Phase 3
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Day 45
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120kg/3reps (negative)/2sets |
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Day 51
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122.5kg/3reps (negative)/2sets |
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Day 57
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125kg/3reps (negative)/2sets |
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Phase 4
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Day 67
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Machine Bench Press 15reps/4sets |
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Day 72
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Machine Bench Press 15reps/4sets |
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Day 77
|
Machine Bench Press 15reps/4sets |
Phase 1 及びPhase 4 は神経系、筋肉への刺激が他のPhaseに比べて少ないため、休養日が中4日となっていますが、Phase 2 及びPhase
3 は充分に疲労を回復させるために、中5日の休養を取るように設定しました。
この1クールを終えた後、使用重量を5%増しにして次回のプログラムに入るようにします。無理なく向上を期待できるプログラムですので、伸び悩んでいるかたは一度お試しになってください。
それでは各Phaseの注意点を次に記します。
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Phase 1
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やや遅めのテンポで行い、筋繊維における収縮の重積を強くする。インターバルは短めで、毛細血管やミトコンドリアの容量増加を狙う。
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Phase 2
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爆発的な挙上を心掛け、モーターユニット動員数を最大限にする。インターバルは長めとし、神経系が充分に回復してから次のセットに入るようにする。 |
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Phase 3
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ネガティブ動作時にできるだけコントロールしながらゆっくり下ろすようにする。特にストレッチポジションのあたりでゆっくり動作するようにすること。インターバルはかなり長くとるようにする。 |
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Phase 4
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Phase 1と同様、遅めのテンポ・短インターバルとする。15レップスを狙うが、決して追い込まないようにすること。あと1〜2回できるかな、というところでストップしてOKである。 |
ここでボディビルダーのみなさんが気になることとして、「例えば胸の場合、ベンチプレス以外の種目はどのように行うべきか」という疑問が出てくるでしょう。もちろん理想的なことを言えば、他の種目も同じように、各期ごとの重量を設定していくべきです。
ただし私の経験から言って、ベンチプレスをメイン種目、あと1〜2種目をサブ種目として行う場合、サブ種目はPhase 1〜3において同じようなやり方で行っても、結果に大差は無いようです。つまり、ベンチプレスだけは上記のようなプログラムで行い、残りの種目は6〜10レップスで行う、というようにします。
しかしPhase 4だけは回復期間として、やはり12〜15レップスくらいをマシンで行うようにしましょう。
今まではバルクアップを目的とする一般的ボディビルプログラムについて考えてきましたが、試合に出るトレーニーの場合は前述のとおり、Phase 3 が減量期トレーニングとなります。
ここで、減量期トレーニングの目的を考えてみましょう。まず考えられるのは、脂肪を落とすこと。ついで筋肉量を最大限に維持することとなります。そして最後に筋肉のシェイプ改善やストライエーションを走らせるためのトレーニング、ということになるでしょう。
私の基本的な考え方、そしてパーソナルトレーナーとしての経験から言って、減量中のトレーニングとして一般的に行われている"高回数短インターバル"は、お薦めできません。脂肪を落とすのは食事・サプリメントと有酸素運動で。そして減量中でもヘビーウェイトを扱うことにより、筋肉量を最大限に維持します。
"高回数短インターバル"ですと心拍数が上がりすぎ、運動強度が高いことからエネルギーとして使われるのは結局炭水化物。脂肪の燃焼は期待できません。さらに使用重量が下がることから、筋肉量の維持にも問題が出てきます。
このように考えると、結局は試合直前だけシェイプやストライエーションのためのトレーニングを行うべし、ということになります。具体的にはストレッチ種目やコントラクト種目を重視して、ミッドレンジの種目は減らすというようにします。
さて、これはどのくらいの期間、行うべきか。
あくまでも筋肉量で勝負したいという場合、最大限にバルクを維持できるように考えるべきです。ミッドレンジのトレーニングを行わずしてバルクを維持できる期間、そして同時にシェイプ改善効果が出てくる期間となると…個人差はあれ、だいたい3〜4週間だと思われます。
よってコンテスト出場を目指すトレーニーの場合、Phase 2 までをコンテストの3〜4週間前に終わらせ、残りはストレッチ種目とコントラクト種目に集中しましょう。
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