皆さんはお気づきになっていないかも知れないが、私はここ3年以上も、既存の製品(サイクロジオール、アンドロスプレーなど)の改良品を除いて、新製品と言えるものを発表していない。
これは私が怠慢であったり、自己満足に浸っていたためにこのような結果になったわけではなく、製品を商品化するためには厳選を重ねているためだ。これまでに市場に出した製品を見れば、それがご理解いただけると思う。何しろ、いずれを見ても良い成績を収めているのだから。今後もこのやり方を変えるつもりはないのだが、どうしてこれまで新製品について沈黙を守ってきたのかというと、私としては最も野心的なプロジェクトに多大な時間を割いていたためである。つまり、製品の潜在的効力の面からも、非常に困難であった製品化するための研究開発の面においても、私の計画は実に無謀なまでに野心的であったのだ。
私が長い月日(18ヶ月)を費やして開発に専念してきた製品が、この度やっと商品化されることになった。 製品化に成功し、特許の仮許可も取ることができた。この記事の最後に記載した参考文献にも是非目を通されることをお勧めしたい。
1-ADについて
1-AD というのは、5アルファ−アンドロスト−1−エン−3、17−ジオン(5alpha-androst-1-en-3,17-dione)ホルモンの専売特許名だ。これには下記の特徴がある。
●経口活性型
●テストステロンを700%以上上回る効力を持つホルモンへの直接、かつ効率的な変換
●代謝物も含め、芳香族化(アロマターゼ)することがない。 エストロゲンの形成皆無
●天然の内因性ホルモン
天然に存在し、確実に変換する
1-
ADは健康体、あるいは疾患の有無にかかわらず、男性の尿中にアンドロゲン代謝物として存在することが明らかにされている。この物質は生体内で17βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ酵素と反応し、活性アナボリック/アンドロゲン性ホルモン、17βヒドロキシ−5α−アンドロスト−1−エン−3−ワン(1−テストステロン)を形成する。生体内でのこの変換の証拠は文献でも報告されているものである。
男性に100mgの1-ADを経口投与したところ、相当な量の1−テストステロンが尿中に排泄されるという結果が出ている。
経口活性
アンドロゲン性ステロイドは通常あまり経口活性がなく、経口的に大量を摂取しなくては生物学的効果を見ることができない。これは、肝臓での初回通過で、物質が主に17ケトステロイドに酸化変換されることにより、大々的に不活性化されてしまうためだ。この酸化を防ぐためには17−炭素にアルキル(メチルまたはエチル)化学基を加えれば良いことを化学者たちは随分前に発見しているが、こうしたアルキル誘動体化は肝臓に対する毒性を増大することにもなるのだ。そんなわけで合成的に変化させた物質(メチルテストステロン、アナドロル、ウィンストロル)の使用にはかなりの危険が伴うのである。
幸い、構造的に別の変化をさせると、この肝臓での酸化による望ましくない不活性化を防ぐことができることがわかった。この方法では肝毒性の危険がない。具体的にどういうことかというと、ステロイド分子の1位に二重結合を導入するのである。
ほとんどの活性ステロイド(4−アンドロステンジオール、テストステロン、ナンドロロン)は4位に二重結合を有するのだが、その二重結合を1位に置き換えると、身体のステロイド代謝にユニークな変化が起きるのだ。つまり、不活性化の主要経路である17βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β−HSD)反応に著しい変化が起こるのだ。17β−HSD反応は平衡反応(どちらにも反応する)と呼ばれ、通常の4位に二重結合を持つステロイドの場合、この平衡反応は主に酸化不活性化を起してしまう。
ところがその二重結合を1位の位置に変えると、平衡は突然反対の方向、すなわちステロイド活性の方向に反応します。このことは1-ADを摂取するとその大部分が"1−テストステロン"に変換することを意味している。さらに、形成された1−テストステロンは非常に安定性があり、1-ADに容易に逆変換することがないのだ。

事実、1位の二重結合はボディビルダーの間でよく知られている、肝臓に害のない経口活性型アナボリックステロイド、メテノロン(プリモボラン)のデザインに使用された。プリモボランが経口活性であるのも1-ADが経口活性型であるのと同じ構造的特徴によるものであるというわけだ(1-ADの構造とメタノロンの構造を比較してみてほしい)。
驚異の1−テストステロン
これらすべてが実に巧く収まる結果になる。まず最初に、天然のプロホルモンである1−アンドロステンジオンが新たに発見された。続いてこの新しいプロホルモンが経口活性を持つことがわかった。そして、第三と第四の発見がこの1-ADを輝かしいばかりに優秀なものにすることとなったのだ。
1-ADはテストステロンには変換しない。その代わりテストステロンの異性体(化学的に近似した誘動体)に変換し、その異性体が17βヒドロキシ−5α−アンドロスト−1−エン−3−ワン、
すなわち1−テストステロンなのである。化学的にいえば、テストステロン分子の4位ではなく、1位に二重結合を持つただの類似体なのだが、そこには化学的構造以上の違いが存在している。1−テストステロンと普通のテストステロンである4−テストステロンには、驚くべき相違が2、3あるのだ。
まず1−テストステロンにはテストステロンを大幅に上回るアナボリック活性がある。事実、テストステロンの7倍以上の筋栄養性を示しているのだ。これほど驚くべき威力を持つアナボリック物質は処方箋製剤にもほとんど見られない。この点に関してはこれ以上いう必要はないであろう。
芳香族化ゼロ
それだけではない。1−テストステロンはエストロゲンに芳香族化(アロマターゼ)することがない。5α還元アンドロゲン(DHTの誘動体)であるため、芳香族化が不能なのだ。その前駆体である1-ADについても同じで、1-ADも絶対に芳香族化することがない。1-ADが他のすべてのプロホルモン(ジオール、ジオン、ノル、アンドロ)に比べて優っていると言えるのは、この事実だけを見てもご理解いただけるはずだ。つまり、他のすべてのプロホルモンはそれ自体が芳香族化するか、あるいは芳香族化するホルモンに変換されてしまうのに対し、1-ADにはその芳香族化の性質が全くないのである。
まとめ
これらの事実をすべてまとめてみてみよう。1-ADを経口摂取すると、その大部分が肝臓を通過する。そして1-ADの大部分がその活性ホルモンである1−テストステロンに変換される。この1−テストステロンは非常に強力で、筋組織に強いアナボリック効果をもたらしてくれる。さらに、この1−テストステロンはしばらくの間持続し、不活性の17−ケトステロイドに容易に代謝することがない。そして最後に、1-AD、あるいは1−テストステロン、またはそれらのいかなる代謝副産物も芳香族化してエストロゲンになることがないのだ。
この記事を読んでいただければ、1-ADが従来の他のすべてのプロホルモンに比べて優っていることに対して論争する余地はないであろう。これまで論理化はされてはいるが未だ製品化されていないプロホルモンですら、1-ADの足元にも及ばないはずだ。私が実地で観察した限り、1-ADは筋力増強、筋肉の固さ、それにジムでのやる気などに著しい効果を示している。体重増加には中程度の効果しかないが、それは水分貯留が最低限に抑えられる(芳香族化しないため)ことが原因と思われる。その効果はアナボリックステロイドのトレンボロンの様な強力アンドロゲン/アナボリックに類似している。
* 編集者注:この記事が書かれた後、現在1-ADはより効力のある「ディオル」バージョンとなっています。
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参考文献
1 Lieberman et al., J. Biol. Chem, 182 (1950), 299
1 Galletti and Gardi, "Metabolism of 1-Dehydroandrostanes in Man",
J Steroid Biochem, 3 (1972), 933-936
1 Langecker, "Beziehungen Zwischen Substitution im Ring A und Abbau
im Stoffwechsel bei Verwandten des Testosterons", Acta Endocrin,
41 (1962), 494-506
1 Counsel et al., "Anabolic Agents. Derivatives of 5alpha-Androst-1-ene",
J. Org. Chem., 27 (1962), 248-251
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