過去5年間に、市場に登場した最もホットなスポーツ サプリメントは、プロホルモンだ。 しかしながら、これらのサプリメントが実際どういうもので、どんな働きをするかについては、誤報と混乱に満ちている。アンドロステンジオンが栄養サプリメントとして販売され始めてからほぼ4年になるが、
その間多くの事実が解明されてきた。 同時に、アンドロステンジオンやその他の次世代のアンドロサプリメントが、少なからずメディアの注目を浴びた。だが
残念な事に、これまでのメディアの取り扱いは、不当な程否定的なのだ。
さらに、事態を複雑にしているのは、最近のJAMA誌(The Journal of the American Medical Association)に発表されたような、アンドロステンジオンに関する否定的な研究で、それらが正当な根拠もなく、プロホルモン全体の安全性と有効性に疑問を投げかけていることだ。
こうした研究は、様々な投与形式によってその作用が大きく異なることや、個々の特異的なプロホルモン化合物のユニークな特性を考慮することなく行われている。
本稿の目的は、プロホルモンに関する事実を明らかにし、プロホルモンに浴びせられた不正確な批判への反論としたい。
プロホルモンとは一体何か?
プロホルモンは自然に生じる物質で、生物学的活性は無いと言ってよく、ヒトの体内において活性ホルモンに変換される。 例えばアンドロステンジオンは、体内でテストステロンに変換されるのだ。
この変換は、特定の酵素の作用によって起こる。 これらのデヒドロゲナーゼ酵素は、組織により異なった濃度で、体内のいたる所に見られるが、その量に限りがあるため、活性化されるプロホルモンの量にも、勿論明確な限界がある。(この事実の重要性は強調する必要がある)。この限界のために、いくら高用量を摂取したところで、若者に見られる自然のテストステロンレベルの範囲を超える程の上昇は起こらないのだ。
プロホルモンの種類
最初に紹介されたプロホルモンはアンドロステンジオンだった。この、"マーク・マグアイア"のプロホルモンは、体内において適度にテストステロンに変換し、幾分かの効果があるが、ただ一つ、ある特殊な問題のためにその使用は限られている。
その問題とは、エストロゲンへの変換傾向が大きいことで、これは、過剰な水分滞留や、女性化乳房(男性の乳腺過剰発育)のリスクの増大という形で、男性にとっては厄介なトラブルとなるのだ。
そこで、アンドロステンジオンに優るものとして、テストステロン前駆体の4-アンドロステンジオール (アンドロジオール(R))が売り出された。
アンドロジオールのテストステロン変換率については、in vitro (試験管内) および in vivo (生体内)における実験において、アンドロステンジオンの変換率を殆ど300%上回ることが示されている。
また、その化学的構造上、アンドロジオール(R) は、直接エストロゲンに変換することができないのだ。 アンドロステンジオンとアンドロジオール(R)
が、異なる酵素系を介してテストステロンに変換することから、この二つをスタックし、酵素量の限界というバリアを乗り超えて、テストステロンのレベルを上昇させようとする試みもあった。
しかしユーザーの多くに、アンドロステンジオンによるエストロゲン問題が起きやすく、このやり方は最近では廃れてしまった。
アンドロステンジオンとアンドロジオールについては、後でもう少し詳しく述べることにしよう。
プロホルモンの5-アンドロステンジオールも、アンドロジオール(R) とおよそ同時期に発売されたものだ。 5-アンドロステンジオールは、テストステロン前駆体でもあるDHEAの代謝物質なのだが、テストステロンの前駆体としては、アンドロステンジオンやアンドロジオール(R)
に比べて直接性に欠ける。 実際のところ、同時に二つの代謝段階を経なければならないので、結果的に変換率がかなり低いのだ。 また、弱いエストロゲン作動薬物質(エストロゲン受容体に結合して、活性化する)でもあり、高用量を使用すると、男性にエストロゲン効果が発現する。
にもかかわらず、5-アンドロステンジオールは全くの失敗であったとは言えない。 軽度に筋肉を発達させる特性があり、他のDHEA代謝物質同様、免疫刺激の効能もあるのだ。
19-ノル プロホルモン類
もう一つ、19-ノル プロホルモン と呼ばれる、アンドロゲン性(テストステロンに関連する) プロホルモンがある。 構造上、ある化学的機能グループ(メチル)が欠けている点を除けば、19-ノル
プロホルモンは、化学的にその対応物質であるC19(アンドロ)に非常に良く似ている。 19-ノル プロホルモンは全て19-ノル テストステロンに変換される。
19-ノル テストステロンの動態は、その代謝の仕方に関する限り、体内のテストステロンと極めて類似しているが、19-ノル テストステロンとその代謝物質が特定の組織に及ぼす影響は、テストステロンのそれとは大きく異なる。
これは主に、この二つのホルモン、ジヒドロ誘動体の活性度の違いによるものだ。 ジヒドロ アンドロゲンは、5-アルファ還元酵素(5−AR)が親ホルモンに作用して形成される。
5-ARに富む組織には、皮膚、頭皮、前立腺、生殖器官がある。 興味深いことに、19-ノル テストステロンのジヒドロ誘動体は、テストステロンと異なり、活性度が親ホルモンよりも弱い。
これは、5-ARに富む組織に対するこのホルモンの作用が、テストステロンに比べて弱いことを示している。 そして、筋肉には5-ARが全くと言っていいほど含まれていないことから、19-ノル
テストステロンの筋肉増強の特性は失われない。 最終結果として、19-ノル 化合物には筋肉増強の効果があるが、皮膚(多毛、ニキビ)、頭皮(男性型禿頭症)、前立腺(前立腺肥大症)
に及ぼす男性化効果は非常に小さいということになる。
最初に登場した19-ノル プロホルモンは、19-ノル アンドロステンジオンであった。 このプロホルモンは暫くの間、ある程度の成功を収め、効果もあったが、アンドロステンジオン程重大でないにしても、副作用としてのエストロゲン問題があった。
ノルアンドロステンジオンとノルテストステロンは、しばしばエストロゲンへの変換能がないように考えられているが、それは間違いだ。 事実、ノル化合物は、アロマターゼ酵素と結合して、C19(アンドロ)化合物同様、エストロゲンに変換する。
この変換には、アロマターゼ酵素が関与してはいるが、C19類と全く同じ機序で変換される訳ではなく、速度も遅い。 それでも、エストロゲンがノルアンドロステンジオンにおいて問題要素となるには充分なのだ。
その後しばらくして、19-ノルアンドロステンジオンに加え、そのジオール対応物質である、19-ノル-4-アンドロステンジオール(ノルアンドロジオールTM)が市場に現れた。
アンドロジオール(R)同様、化学的にエストロゲン変換が不可能な物質だ。 活性ホルモンへの変換率がジオン系よりもはるかに高い点では、ノルアンドロジオールTM
もまたアンドロジオール(R) に類似すると考えられている。 残念な事に、19-ノルテストステロンの血液分析試験は、現在のところ非常に費用がかかるので、生体を使った証明はまだない。
その他のプロホルモン
他にも一風変わったプロホルモンが幾つかあるが、いずれも前述の 「四大」 プロホルモンに優るものはなく、費用効果も薄い。 以下、その2、3種類について簡単に説明しよう。
5-アンドロステンジオン: 5-アンドロステンジオンは、基本的には、体内でアンドロステンジオンに異性化する化合物だ。 比較的高価であるため、これは、アンドロステンジオンの費用のかかる摂取方法でしかないと言える。
19-ノル-5(10)-アンドロステンジオール: このプロホルモンは、大して価値はない。 体内で僅かに19-ノル-4-アンドロステンジオールに異性化することがあるというだけだ。
19-ノル-5(6)-アンドロステンジオール: このプロホルモンには、多少の筋肉増強の特性があるようで、僅かながらノルテストステロンへも変換する。但し、ある研究でも示されているように、エストロゲン作動物質としての働きが強い。
(エストラジオールに比べ、エストロゲン受容体へのRBA(相対結合能)は4%となっている。) その結果、この物質のユーザーにおける、女性化乳房の発生率の高さは憂慮すべきである。
プロホルモンが健康に及ぼす利点
アンドロステンジオンやその他のテストステロン プロホルモンが健康に及ぼす利点に関する討論は、事実上テストステロンの利点に関する討論と言える。
詳しく言えば、テストステロン レベルの適度な上昇が及ぼす健康上の利点に付いての討論ということになる。 適度というのは、プロホルモンは(活性アナボリック
ステロイドと異なり)、テストステロンを自然の生理的上限を超越する領域にまで、上昇させることはできないからだ。
プロホルモンは元々、アナボリックステロイドの、安全且つ合法的代替物として、ボディビルダーやアスリート用に市販されたものだ。 アナボリックステロイドは、規制薬物であり、乱用すると潜在的に有害効果を持つ。
ボディビルダーやアスリートがプロホルモンを摂取するのは、トレーニングからの早期回復と、筋肉の発達を促進するためなのだ。 この点については、プロホルモンはかなり効果的で、特に強度のトレーニングによってテストステロン
のレベルが抑制されている場合(持久運動選手、コンペティション前のボディビルダーなど) や、テストステロンのレベルが自然的に低い男性などには効果がある。
また、最初からテストステロン レベルが正常または正常高値のアスリートにも効果が見られることが報告されているが、前述のタイプ程の劇的な効果はない。
これまでプロホルモンの使用者は、主に若いアスリートが中心であったが、プロホルモンの本来の標的マーケットはテストステロンレベルが減少しつつある中高年の男性なのだ。
アンドロポーズ
30才を過ぎると、男性のテストステロン レベルは、ゆっくりと継続的に減少し始める(1年に平均1~2%)。 テストステロン減少の症候は、男性更年期障害、アンドロポーズとして知られている。
その症状には以下のようなものがある。
・ 鬱病
・ 集中力低下
・ 記憶力低下
・ リビドー喪失、勃起不全
・ 筋量、筋力、スタミナの減少
・ 骨量低下
・ 内臓脂肪の増加
・ 種々心疾患の危険因子の増加
過去5〜10年のあいだに、アンドロポーズの治療としてのテストステロン補充療法の効果について、数多くの研究が行われている。 これらの研究から集められたエビデンスは、テストステロンを若者並みのレベルに回復させる事の有効性と安全性に関して圧倒的に肯定的なのだ。
次の様な利点が報告されている。
・ 除脂肪体重と筋力の増加
・ リビドーと性機能の増大
・ 血中脂質濃度の改善
・ 骨量の増加
・ 認知力の改善
・ 冠血流の増加
・ 気分の高揚と安寧感
・ 記憶力の改善
・ アルツハイマー病の予防効果
前にも述べた通り、プロホルモンは、テストステロン値を正常~正常高値まで上昇させるのに効果がある。 従って、適切なテストステロン プロホルモンを正しく使用すれば、テストステロン補充療法と同様の効果を得ることができる。
何百万という人々の健康と生活の質の改善にプロホルモンが役に立つのは、まさに男性更年期障害の治療にあるようだ。
プロホルモンの本当のリスクとは?
プロホルモン、特にアンドロステンジオンの使用には、幾つかの非常に大きな危険が伴うことが示唆されている。 これについて、まず述べる必要があるのは、アンドロステンジオンが市場に出てから殆ど6年にもなるが、重篤な有害効果に関して妥当性のある研究報告は、今だに一つも無いことだ。
さらに、アンドロステンジオンには特定の副作用のリスクが全くないとは言い切れないにしても、これらのリスクは正しい状況のもとで判断する必要がある。
アンドロステンジオンに伴うと言われているリスクについて検討してみよう。
・ 心疾患: テストステロンが心疾患のリスクを高める原因になるというのは、主に心臓発作が女性よりも男性に多いことに由来する昔からの迷信だ。
実際はそれと反対に、男性における心臓血管疾患のリスクは、テストステロンのレベルに逆の相関を示すことが、研究により強く示されている。
アンドロステンジオンの使用によるテストステロンの増加が、心疾患のリスクを高める事があるという正当な証拠はないが、エストロゲンレベルの上昇が寄与因子となる可能性に関しては、相反するエビデンスが報告されている。
・ 肝機能障害: アンドロステンジオン、および非合成アンドロゲン性 ホルモンの使用が、肝臓障害を引き起こすという非難は、誤解を招くばかりか全く間違っている。
肝機能障害と関連づけられているのは、特定の種類の合成経口アナボリックステロイド(テストステロン誘動体)の使用なのであって、テストステロン自体や、テストステロンの代謝物
(プロホルモン)とは関係がない。
・ 前立腺肥大/癌: テストステロン レベルとBPH(前立腺肥大症)、前立腺癌との関連性は見つかっていない。 それに対し、エストロゲンがBPHを引き起こす要因となることは示唆されている。
・ 女性の男性化: アンドロステンジオンやその他のテストステロン誘動体(アンドロゲン)を女性が使用した場合、男性化が起こりうる。 これは、用量依存性であり、女性の使用者のこれら化合物に対する感受性にもよる。
女性も、アンドロステンジオンやその他のプロホルモンを安全に摂取することができるが、摂取用量は少量でなければならず、体毛の増加や声変わりなどの変化に気を付けなければならない。
この様な兆候が現れたなら、すぐ使用を中止することで簡単に永久的男性化を避けることができる。
・ ティーンエイジャーの発育阻害: アンドロステンジオンやその他のプロホルモンは、必ず成人による使用のみという了解のもとに販売されてきた。ティーンエイジャーが
これらの化合物を使用すれば、早期骨端閉鎖の危険がある。 これは、正常に成長した場合の背丈まで、身長が伸びないということで、 健康上の実害はないとしても重大な外見上の問題になることは確かだ。
・ 女性化乳房: 女性化乳房とは、男性における乳房組織の発達のことで、健康を脅かす問題というより、むしろ外見上の問題である。 普通、乳首部の皮膚下に小さな腫瘤の形で出現する。
厄介にも、アンドロステンジオンがエストロゲンへの変換傾向が強いため、それに敏感な男性に起こりやすい。
さて、アンドロステンジオンが一部で言われている様な「キラー」ではないとしても、特定の望ましくない副作用に関連づけられている。これらの副作用は概して、アンドロステンジオンが体内で変換するところのエストロゲンによって引き起こされるのだ。
本稿の最も重要なポイントはそこにある。はるかに安全なプロホルモンであるアンドロジオール○Rが、もう4年も前から市場に出ており、それこそ現在広く使われているプロホルモンであり、臨床的に研究されるべきであったという事実を強調しておきたい。
エストロゲン問題とその解決
アンドロステンジオンは、効果的にテストステロン上昇させるが、あいにく、エストロゲンも効率的に上昇させてしまう。 アンドロステンジオンの副作用の可能性のところで指摘したように、アンドロステンジオン由来のエストロゲンは潜在的に問題を起こしやすい。
アンドロステンジオンが、エストロゲンレベルの上昇に効き目があるのは、体内でテストステロンに変換する他、 エストロンに直接変換するからなのだ。
このためにテストステロンとエストロゲンのレベルの不均衡が生じることがあり、トラブルの原因となる可能性がある。 幸い体内には、他のテストステロン直接代謝前駆体が自然に存在しており、
その一つが、プロホルモンの4-アンドロステンジオール (アンドロジオール(R))だ。 アンドロジオール(R) はテストステロン レベルの上昇に非常な効果を示す。
この点では、アンドロステンジオンの3倍もの効果があることを示した研究もあるくらいだ。 しかし、最も重要なことは、アンドロジオール(R)は、直接エストロゲンに変換できないという事実なのだ。
その結果、使用中にエストロゲンが法外に上昇することがない。 したがって、アンドロジオール(R)には当然、アンドロステンジオンに示唆されるような有害効果の可能性は当てはまらない。
最近、アンドロジオール(R)を成分とする製品の安全性に関し、4週間にわたって行われた研究が完了した。この研究においては、エストロゲンの有意な上昇は認められなかった。
また、精巣におけるテストステロン生産への影響はなく、血中脂質、肝機能、腎機能にも有意な変化は認められていない。 体重、除脂肪体重、および垂直跳躍能では、プラシーボに比べかなりの変化が認められた。アンドジオール(R)に関しては、6週間の包括的な研究が、現在進行中である。
未来の新プロホルモンとは?
自然のアンドロゲン性プロホルモンは、その殆どが既に発見され、市場に紹介されているが、さらに数種類が今後商品化される可能性がある。 その内、特に2種類がLPJリサーチによって開発中であり、全て順調に行けば、この夏までに市場にお目見えするかも知れない。
これらは、すべてのプロホルモンのうちで、最も強力的、且つ安全性の高い製品となる可能性が大きい。 もっとも、これは論理上証明されている様に実世界でもうまく行けばの話である。
次回: プロホルモンのデリバリー システムの種類、その作用と賛否両論。 |