残すところあと一週間。目に浮かぶのはステージ上をゆっくり歩く自分の姿。観衆はわれんばかりの喝采で沸いている。一通りの動きを華麗にきめながら己の勝ちを実感する。今度こそ誰にも負けない。任務は全部果たしたのだから。文字通り身を削るようなダイエットをこなしタンニングベッドで汗まみれの数時間を耐えた。全ての努力が報われるときが来るのだ。あと一週間で。
まずはお決まりのディカービング(毎日の炭水化物摂取量を大幅に減らす)を開始。頭の中は炉心溶融と化すがローディングが終わればこっちのものだ。2,3日は空気の抜けたタイヤ状態のまま偏執症と精神分裂症と戦う。
ついに水曜日がやってきた。炭水化物をがんがん取り入れる。さつまいもの美味いのなんの。少量のシナモンとノーカロリー甘味料でまるでスイートポテトパイだ。毎2,3時間にこれを繰り返せば、金曜の夜までに筋肉はまるく膨らみ肌は紙のように薄くなる。ベッドの中で、明晩「スーパーハード」の本当の意味を知らしめるべき自分の姿を確信する。
当日。目を覚まして今一度自分の姿を鏡で確認。・・・。いったい何が起きたんだ?昨日までの余分な肉をきれいに削ぎ落としたはずの腿はそのシャープさを失い、引き締まった臀部はもはやフーバーダム以上の規模の貯水地になっている。腹部はまともだが、腰辺りの肌は垂れ気味。しかし、修復可能だ。余分な水分を利尿薬を飲んで落とす。数時間後、血圧が下がり血管が跡形も無くなる。そしてすっかり打ちひしがれた自分のステージに上がる姿・・・。何を間違えたんだ?
どこでしくじってしまったんだ?
ボディービルという一風変わったスポーツ競技を経験した者ならば同様の経験をし た、あるいはしたという話を聞いたことがあるはずだ。そこで私は次回のための新し
いアプローチを紹介したい。自分を負かすライバルを増やす結果をもたらし得るこの 貴重な情報を教えるのは正直なところためらわれるものの、結局失敗を恐れて試せな
い人が多いようなので私の取り越し苦労かもしれない。
ここでは大会3日前からの準備法を紹介する。というのはボディビルダーの50%が 実にこの3日間に努力を台無しにしてしまうからだ。49%は単なる努力不足で脂肪
を落とし切るまでいかない。残りの1%が勝利者となるわけだ。本題に入る前に言っ ておこう。もし競技に参加しようとする時、単に太っているという問題がある場合は
ダイエットのための掲示板に出ているメッセージを隈なく読み栄養学の知識を深める ことだ。それでは始めよう。
まず基本的な質問からだ。炭水化物の摂取量を上げた場合と下げた場合では体の水分レ ベルはどのように変化するだろう。急激に炭水化物の量を減らすとどうなるか?お
しっこがいっぱい出る、とちゃんと答えられただろうか。その通り、炭水化物が少な いと水分は体を通りぬけるだけだ。炭水化物の量が少ないまま舞台に上がって水分を
体内にたくわえておける見込みはあるか?他の要因にもよるが、あっても少しだろ う。炭水化物1gにつき3gの水分を蓄えられる。ということは、そう、炭水化物が
なければ筋肉は隆々にならないのだ。
しかし、正しく時間を計算しないで炭水化物を摂取するのもトラブルのもとである。 つまり炭水化物を摂取すると1〜2時間は素晴らしい体つきでいられても、その後水分
は望ましくない個所にあちこち移動し始めてしまう。炭水化物さえ摂取しておけばス テージ上で完璧に近い体を披露できると信じたがために数週間の努力は水の泡になっ
てしまう。「でもジョン、炭水化物を取らなければ筋肉は膨らまないし強くもなれな い」「そんな状態じゃ舞台に上がれない」、そんな声が聞こえてきそうだ。私もこれ
に全く同感である。しかし水分を溜めこまずに筋肉を「膨張」させてくれる栄養素がちゃんと存在するのだ。それは、なんと、脂肪。
ここでこれまで学んだことを復習してみよう。炭水化物摂取量を少なく抑えている限 りコンテスト準備期間に水を飲むことは構わない。これは生理学上、炭水化物の量が少なければ体は水分を蓄えることができないからだ。そして満腹感とエネルギー補給のため
に脂肪を取り入れる。カロリー1gにつき炭水化物なら4kcalのところ脂肪は9kcal供給できることを覚えておこう。
では血管分布はどうだろうか。血管を作るのは血圧と赤血球数であるがこれらは普通のステーキ(牛の腿肉の内側、真中、外側、腰肉上部あるいはわき腹など)を食べることにより効果的に上げることができる。カシューナッツやピーナッツバターもいい。そ
れらの単一飽和脂肪に富んだ食べ物はエネルギーと満腹感を与えてくれる。さらにそ れらに含まれる少量の塩分が血圧を上げるのに役立つのだ。 このアプローチのその他の利点はこの食事療法を続ける限り引き締まった体を何日間も
保持できるということだ。毎回調整を少し加えるだけで効き目がある。 私が'99USAに向けて行った食事療法の例を紹介しよう。これのおかげで、私はその
大会のステージ上で一番引き締まった体を披露することができた。
水曜日(競技2日前)
・食事1 卵6個のスクランブルエッグ - プロテインと脂肪を十分にとる
・食事2 ステーキ1/2ポンド、カシューナッツ1/2カップ
・食事3 ピーナッツバタースプーン2杯入りホエープロテインシェーク
・食事4 ステーキ1/2ポンド、カシューナッツ1/2カップ
・食事6 ステーキ1/2ポンド、サイズ中のサツマイモ
・食事7 サーモン1/2ポンド、ピーナッツバターをスプーン2杯
・水道水(ナトリウムを少し摂取するため)3ガロン
木曜日
・水を2ガロン(7.6リットル)に減らす。
・もし起床時に体が非常に乾燥して硬く見えるという場合は昨日の食事メニューを繰り返す。膨らみが足りないようならステーキを1、2枚増やす。 筋肉の硬さももう一つで充分にムキムキしてないというなら、サツマイモを省く。
これで上手く行くはずだ。
金曜日(当日)
・正午までに水1ガロン(3.8リットル)。午後水は必要なし。
・9:00pmにステージに上がる。昨日のルールを忘れずに。
もう一つ。体脂肪は競技の2週間前までには低く下げておくこと。ショー当日にぴっ たり合わせて下げるという間違いは避けなければならない。早めに体を作っておけ
ば、皺が深くなり成熟さが出せる。競技の1週間前に私が教えたトレーニングセッ ションを行えば、競技週間中に限りなく近いコンディションに持っていけるはずだ。
私は体重100kg(身長163cm)あたりで競技に臨んだがそれより重いあるいは軽いという場合にはそれに見合った調節を各自行うこと。詳しい調整法を知りたい人は私かドクター・セラノに連絡を。彼もこの競技前の準備アプローチの信奉者だ。そして、この方法は女性にも大変効果がある。
健闘を祈る。 |