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RDAB: ボディビルダーのための、決定的栄養摂取ガイドライン ― その1
By リーハン・ジャラリ Rehan Jelali  
 RDAB (1日栄養所要量)は、米国の一般市民の健康維持に必要な栄養摂取量のガイドラインとして、米国国立科学アカデミーによって提唱されました。 疾病防止のために必要な様々な栄養素の最低所要量を示したものです。 提示された量は、一般市民には充分なものですが、果たしてボディビルダーには充分なのでしょうか? 常に高強度のトレーニングに励むボディビルダーにとっては、決して充分な量とはいえません。 トレーニングを効果的に行うにも、病気の予防のためにも、アスリートにはRDA推奨量以上の栄養が必要です。 ボディビルダーに特異な必要条件があるからです。 そこで、ボディビルダーの為の最低栄養摂取量の一般的なガイドラインがあればいいとの考えから、RDAB(ボディビルダーのための1日栄養所要量)を提唱することにしました。 適正な身体機能を維持し、運動パーフォーマンスを向上させるためには、アスリートは多量の栄養を摂取しなければならない事を示した研究もあります(1)。 ここでは幾つかの重要栄養素についての考察を行い、RDAとの比較も示します。 ボディビルダーの需要に基づいて新しいRDABを設定したいと思います。

タンパク質
: タンパク質は、筋の成長と機能に不可欠なアミノ酸に分解されます。 一般男子のタンパク質RDAは1日約56グラムとなっていますが、ボディビルダーは、高強度トレーニングによって引き起こされた身体のカタボリック状態から回復するために、より多くのタンパク質を必要とします。 また除脂肪筋肉増大のためにも余分のタンパク質が必要です。(これは私自身も含め、ほとんどすべてのボディビルダーのゴールだと思います。) タンパク質のRDABは、体重1kgにつき2.2gを1日何度かに分割して摂取するということにしましょう。

ビタミンCまたはアスコルビン酸は、ボディビルダーをはじめ、高強度トレーニングを行うアスリートにとって不可欠な水溶性ビタミンです。 抗酸化機能、コラーゲン合成(2)、免疫強化効果、コルチゾール レベルの低下などをはじめ幾つかの機能があります。 ビタミンCの研究における権威者の一人であるライナス ポーリング博士によれば、ヒト、サルや類人猿を除くほとんどの動物は、食物から摂取しなくても内因的にビタミンCを合成できるそうです。 それらの動物は、肝臓でそれぞれの体重に見合った量のビタミンCを生成します。 これは普通の成人の場合、大体10-12gという計算になります。 ヒトが外因性ビタミンCを必要とするのは、アスコルビン酸合成に必要な酵素の一つである、グロノラクトン オキシダーゼが欠けているからです(3) 。ビタミンCは体内のフリーラジカル(遊離基)の発生を防ぎます。 フリーラジカルは体内の様々な酸化損傷の原因となります。 ビタミンCが風邪の罹患期間や症状の軽減に大きな効果を持つことはすでに明らかされています (4)。 病気になると正しくトレーニングする事ができなくなり、苦労して得た筋肉も落ちてしまう結果になります。 また、ビタミンCは、コルチゾール レベルを低下させることによって、テストステロンの対コルチゾール比を上昇させることが解っています(2)。 コルチゾールは、高強度のウェイト トレーニングなど、身体にストレスがかかる時に分泌されるカタボリック ホルモンです。 ビタミンCにはコラーゲン生成を促す働きもあります。コラーゲンは、皮膚、筋肉、骨を強化するので、ヒトの体内では非常に重要な物質です。 靭帯と腱は主にコラーゲンからなっていますが、 靭帯と腱の健康維持におけるビタミンCの重要性を立証した研究は数多くあります(2,5)。コラーゲン生成を促す反応にもビタミンCが必要です(3)。ボディビルダーは、正しくトレーニングするために関節が健康でなくてはなりません。これは特に長年トレーニングを続けているボディビルダーについて言える事です。 さらにビタミンCは、カルニチンの合成にも重要です。充分なカルニチンが生産される事は脂肪の分解にとって大切なことです。というのは、脂肪の分解が起こるミトコンドリアへ長鎖脂肪酸を輸送するのを助けるのがカルニチンだからです。神経伝達物質の合成とコレステロールの異化作用にも、ビタミンCが重要な役割を果たします(3)。 これといって秀でたビタミンC製品はないので、ただのアスコルビン酸で充分用が足ります(6)。 食品のビタミンC源としては、オレンジ ジュース、パパイヤ、カンタロープ(果肉がダイダイ色のメロンの一種)、 ブロッコリーなどがあります。 一口に言って、ビタミンCはボディビルダーにとって大変重要なビタミンです。 ビタミンCのRDABは1日6グラムとしましょう。 ワークアウト後の炎症を軽減するためには、ウェイト トレーニングをする前に2g摂取するといいと思います。

ビタミンAとはレチノールとレチナールを指します。レチナールの副生成物がレチン酸です。 プロビタミンAはベータ カロチンのことで、体内でレチノールに変換されます。ビタミンAは、視サイクル、細胞分化(細胞の発達をコントロールする遺伝子発現に影響を与える)、成長(上皮細胞の成長を刺激し、成長因子の特異的受容体数の増加に寄与すると思われる(7))、男子、女子の生殖過程、骨の発達、免疫機能の働きなどに関与しています。ビタミンAは亜鉛、ビタミンK、ビタミンEと共同作用し、これらの栄養素が欠乏するとビタミンAの機能にも支障をきたします。ビタミンAの食品源には、牛レバー、サツマイモ、人参、ほうれん草などがあります。ビタミンAの機能の多くがボディビルダーにとって重要なため、RDABは1日30,000IUとしましょう。

ビタミンD
は骨格の成長と強さに関与しています。 カルシトリオール、1,25-(OH)2 D3がビタミンDの活性型と考えられており、ステロイド ホルモンに似た働きをします。血中カルシウム濃度のホメオスタシスを司る副甲状腺ホルモンに、重要な役割を持っています。 副甲状腺ホルモンは腎臓の遠位尿細管におけるカルシウムとリンの再吸収を促進します(8) 。 正常な成人の身体は、太陽の光にあたると体内でビタミンDを製造します。 またビタミンDは、長期のボディビルダーに時々みられる関節炎の発現を遅らせることもあります。 ビタミンD源には、陽光や、ビタミンD添加牛乳などがあります。 ビタミンDのRDABは、日照時間の長い地域では500IU、日照時間が少ない地域では、700IUとしておきましょう。

ビタミンE には植物によって合成された8種類の異なった化合物が含まれてます。 ビタミンEの活性度が最も大きいのが、アルファ トコフェロール、厳密にはd-アルファ トコフェロールで、脂溶性ビタミンです。 ビタミンEの主要機能は細胞膜を健全に保つことで、膜の安定性に寄与すると考えられています(9)。 細胞膜のリン脂質の不飽和脂肪酸の酸化(過酸化)を防ぐ、強力な抗酸化作用があります。フリーラジカル(遊離基)を防ぐ効果があるのです。 ビタミンEはセレニウムとの間に相互関係を有し、両栄養素ともグルタチオン ぺルオキシダーゼ(体内の強力抗酸化物質)の機能に密接に関係しています。 ビタミンEはビタミンCの働きによって、再生する事ができます。 ビタミンEの豊富な食物は植物種油です。 このRDABは1日800IUに設定しましょう。 ビタミンEの摂りすぎは他の脂溶性ビタミンの機能を損なう(8)ので、ビタミンEを多量に摂取する事はお勧めしません。

ビタミンKは脂溶性ビタミンで、血液凝固に不可欠な役割を持っています。 事実上骨基質を強化する事もあります(10)。 葉緑野菜や、大豆などがその食品源です。 ビタミンKを多量に摂取しても役には立たないと思いますが、欠乏しては困るので、1日100mcgの RDABを摂りましょう。

チアミン(ビタミンB1) は、血液中では主にチアミン一リン酸(TMP)の形をとります。 チアミンは体内で、そのリン酸化型であるチアミン二リン酸(TDP)に変換することもあります。TDPは、ピルビン酸とアルファ ケトグルタレートの酸化的脱炭酸反応に必要な補酵素として機能します。 この反応はATP(エネルギー)生産にとって不可欠なもので、筋肉機能を高めるのに大変重要となります。 チアミンは神経伝導にも重要で、記憶力に関与する神経伝達物質、アセチルコリンをミミック (摸倣)し、その効果を強化すると考えられます(11)。 コーヒーはチアミンの効果を妨げる事があるので、コーヒーと一緒にチアミンを摂ることはお勧めしません。 チアミンを供給する食品源としては、イースト、ひまわりの種、豆類などが挙げられます。 RDABは1日60mgとしましょう。 水溶性のビタミンは、摂りすぎても尿と共に排泄されるので、殆ど毒性がありません。

リボフラビン(ビタミンB2) には、フラビン モノヌクレオチド(FMN)とフラビン アデニンジヌクレオチド(FAD)の二つの補酵素型があります。 これらの補酵素は、体内の多くの代謝反応に機能します。 水素原子を二つ取り入れる事ができるので酸化剤として作用する事ができるのです。 これはコリン代謝の一部で、ドーパミンなど他の神経伝達物質もその代謝にFADを必要とします。 ドーパミンはエピネフリンとノルエピネフリンに変換して、エクササイズ中のエネルギー発生を刺激します。 リボフラビンを豊富に含む食物には、牛レバー、脂肪の少ないサーロイン ステーキ(上部腰肉)、きのこ類、リコッタ チーズなどがあります。 リボフラビンのRDABは、一日25mgに設定しましょう。

ナイアシン (ビタミンB3)
はニコチン酸またはニコチンアミドとも呼ばれています。 肉に含まれるナイアシンは遊離型のニコチンアミドとして存在します(12)。 ナイアシンはNADとNADPの2種類のヌクレオチドとして発生し、肝臓でアミノ酸トリプトファンから生成する事もできます。 NADとNADPを必要とする酵素は200ほどあり、NDPはATP(エネルギー)の生産に寄与します。NADPHは、脂肪酸の合成、コレステロール ホルモン、ステロイド ホルモンの合成、グルタミン酸塩の酸化などを含め、あらゆるプロセスに使われています。 また、ビタミンCの酸化型であるデヒドロアスコルビン酸塩を減少させると考えられています。 ナイアシンがコレステロールを低下させる事も明らかにされていますが、空腹時に摂取すると紅潮(赤らみと血管拡張)を起します。 また、高用量のナイアシンは肝臓に負担をかけます。 血管を鮮明に出すためにヨヒンベと一緒に使用しているボディビルダーもいます。 血管拡張の働きがあるため、血管を出すのにかなりの効果があります。 ワークアウト中のエネルギー増大にも効果があり、私はワークアウト前に300-400mgを摂取して上々の結果を得ています。 肝臓の調子が悪かったり、ナイアシン紅潮の問題がある場合は、肝臓にやさしく、紅潮を起さないヘキソニコチン酸イノシトールを試してご覧になることをお勧めします。 ナイアシンを含む食品には、マグロ、鶏胸肉、牛肉などがあります。 ボディビルダーにとっては重要なビタミンなので、ナイアシンのRDABは1日200mgに設定しましょう。

パントテン酸 (ビタミン B5) は食物に豊富に含まれています。 補酵素A(CoA)の極めて重要な成分で、システインおよびATPと並んで補酵素Aの生成に使われます。 補酵素Aの成分としてのパントテン酸 は、炭水化物、脂肪およびタンパク質からのエネルギー生産に欠かせません。 ですから、パントテン酸は基本的にエネルギー放出だけでなく、エネルギー貯蔵にも大切な役割を果たします。 手術後の治癒回復を速めることを示唆した研究結果もあります(13)。 パントテン酸は、卵黄、イーストなどの食品に豊富に含まれています。 エネルギー機能の役割が大きい事から、パントテン酸のRDABは、1日8mgとします。


ピリドキシン (ビタミンB6)
には数種類の形態があります。 加熱、缶づめ加工、冷凍、その他の食品加工過程は、食品中のビタミンB6を減少させます。このビタミンの補酵素型は非常に多くの酵素に関連づけられおり、それら酵素の大半はアミノ酸代謝に関与するものです。 また、ビタミンB6はヘムの合成にも必要です。 トリプトファンからのナイアシン合成には、PLP(ピリドキサル 5-リン酸)が必要ですが、このPLPはビタミンB6の形態の一つです。 炭水化物からエネルギーを発生するグリコーゲンの異化作用に必要とされます。 ビタミンB6が糖質コルチコイド ホルモン(コルチゾール)など特定のステロイドの作用を抑える事も解っています(14)。 ボディビルダーは、無駄のない筋肉の発達とオーバートレーニングの症状を防止するためにも、 コルチゾールのレベルを断固として抑えなくてはなりません。 ビタミンB6の食品源には、サーロイン ステーキ、白インゲン、ジャガイモなどが含まれます。 ボディビルダーにとって重要な機能を持つビタミンなので、ビタミンB6のRDABは、1日25mgとします。

葉酸(葉酸塩)
は、緑色野菜やきのこ類に含まれるビタミンです。 光と熱にたやすく破壊されるため、葉酸塩欠乏症が起こりがちになります。 葉酸塩は、アミノ酸、特にセリンやメチオニンの代謝に重要です。 ヒスチジンの代謝にも要求されます。 このビタミンが欠乏すると、筋肉が軟弱になります。 アスコルビン酸は葉酸の酸化的破壊を防ぎます。 葉酸塩とビタミンB12(コバラミン)の間には相乗的関係があり、体内ではビタミンB12なくしては葉酸は無力なので、時としてこの関係を「メチル葉酸トラップ」とよんでいます。 葉酸は、きのこ類、ほうれん草、ブロッコリーなどの食品に含まれています。 これも高用量の摂取がボディビルダーのためになるとは思えませんが、欠乏すると多くの悪影響を引き起こすので、それは避けなくてはなりません。 葉酸のRDABは3mgとします。

ビオチン
はかつてビタミンHと呼ばれていました。卵黄にはビオチンが多く含まれています。 卵白はアビジンと呼ばれる熱に不安定なタンパク質を含み、 ビオチンと結合してその吸収を妨げるので、卵白に火を通す事は大変重要です。 ビオチンは多くの酵素の体内での機能を助けます。 エネルギーの代謝を助けるとともに、脂肪とアミノ酸の利用に重要な物質です。 欠乏症を防ぐために、ビオチンのRDABは400mcgとしましょう。

ビタミンB12 (コバラミン)
は普通、動物性食品のみに存在します。 エネルギーのレベルアップに効くというボディビルダーもいますが、私はまだ確認していません。 欠乏すると貧血の原因になります。 肉類、魚、鶏肉に多く含まれています。 ビタミンB12のRDABは1日20mcgとします。

カルシウム
は体内に最も豊富に見られるミネラルです。 量が多いので、マクロミネラルと考えられています。 骨と歯の構造基質に不可欠なミネラルで、実際体内のカルシウムの99%が骨と歯に集中しています(3)。 カルシウムには血液凝固、神経伝導、筋収縮、酵素の調整、細胞膜の浸透性などの様々な機能があります(15)。 活性があるのは、イオン化型のカルシウムのみで 、上記の機能の働きをします(Ca+2)。 カルシウムには、血圧降下作用も認められています(16)。 カルシウムはトロポニンCなどの特定のタンパク質と結合し、アクチンとミオシン( 筋タンパク質)の相互作用を促して筋肉を収縮させます。 ボディビルダーは筋肉を完全に収縮させなくてはならないので、カルシウムは重要な栄養素です。 カリウムとリンの摂取量を増やすと、カルシウムが尿と共に排泄される量を抑えます(17)。 最近の研究では、カルシウム サプリメント(500-2000mg/1日)の使用で、男子アスリートの除脂肪体重と骨塩量が実際に増えた事が示されています。 市場で手に入るカルシウムのうちでは、クエン酸カルシウムが最も吸収され易いようです。 ミルクや乳製品にはカルシウムが多く含まれています。 カルシウムのRDABは1日1400mgとしましょう。

リンは体内の無機成分として、カルシウムに次いで多く見られるものです。 リンの約85%が骨格に集中しています。体内に吸収されるリンの殆どは無機リン酸塩の形をとります。 リン酸塩は骨格組織の発達に重要です。 リンはエネルギー栄養素の代謝に非常に重要で、ATP(身体の主要エネルギー源)のような高エネルギーリン酸塩結合の形で代謝率の向上に貢献します。 リン酸塩はまたDNAとRNAの核酸の成分でリン脂質として細胞膜内で機能し、酸塩基平衡に関与しています。 又緩衝剤として働き、乳酸の蓄積を抑制します。 乳酸の蓄積を遅らせたり、減少させたりする事ができれば、長時間のトレーニングが可能となり、簡単に疲労しなくなります。 リンをサプリメントすれば持久力が増大する事は、研究で明らかにされているところです(19、20)。リン酸塩はクレアチンリン酸の生成にも関与するようです。 クレアチンリン酸はそのリン酸塩をADP (アデノシン二リン酸)に与えてATP(アデノシン三リン酸)の再生をサポートします。 肉、魚、卵、鶏肉などは、みなリンを豊富に含んでいますが、殆どの食品に含まれています。 ボディビルダーは、少なくとも1日1200mgのサプリメントを摂取すれば確実な効果が見られます。

マグネシウム はヒトの体内における全体的な量では4番目に多い物質ですが、細胞内に限れば、カリウムに次いで多いミネラルです。 このミネラルは、解糖、クレブス サイクル、クレアチンリン酸生成、核酸合成、アミノ酸活性化、心臓および平滑筋の収縮、サイクリックAMP生成、そしてボディビルダーには最も重要なタンパク合成など、体内の300以上の酵素反応に関与しています(21)。 食物繊維はマグネシウムの吸収を妨げることがあるので(22)、繊維質の食べ物と一緒に摂取しない方がいいでしょう。 ある研究において、被験者にマグネシウム サプリメントを投与したところ、7週間で絶対筋力と除脂肪体重が増えたという結果が出ています(23)。 心臓発作を起す患者は大抵マグネシウムに欠乏しています。 マグネシウムの供給源である食品には、ナッツ、大豆などの豆類があります。 ボディビルダーがマグネシウムから得るところは大きいので、RDABは1日600mgとしましょう。

ナトリウムは体内の水分のバランスに大きく関係しています。 ナトリウムは血液中のカチオン(陽イオン)の93%を占めています。 ナトリウム-カリウムATPアーゼ ポンプで、細胞分子が粘膜横断する能動輸送を促します。 ヒトの身体は、1日約500mgのナトリウムを必要とします。 摂りすぎると細胞間隙に水分が貯留し、身体が外面的に膨れて平滑な感じになります。 ですから、ナトリウムの摂取には充分気をつけて、摂りすぎないようにしなければなりません。 食事のナトリウム源の大部分は普通、塩化ナトリウムです。 塩化ナトリウムは、その重量の39%がナトリウムで構成されています(3)。 ボディビルダーは、缶詰の肉、加工食品、パン類、特定のシリアルなど、ナトリウム含有量の高い食品を制限するよう気をつける必要があります。 ナトリウムの摂取を全く制限してしまうと、アルドステロン ホルモンが放出され、腎臓のネフロンでナトリウムが再吸収されることがあるので、賢明ではありません。 ナトリウムの再吸収はナトリウムの排泄を減少させるので、体内に水分が貯留してしまいます。 再吸収には通常24時間かかるので、ショーの2週間前から800mgを摂取し、ショーの約18時間前に厳しく制限するのがいいと思います。 食塩、パン類、チーズ、魚介類などは、すべてナトリウムを多く含んでいます。 ナトリウムのRDABは、1日600~1000mgに設定しましょう。

カリウムはマイクロミネラルで、平滑筋、心臓の筋肉、および骨格筋の収縮機能に重要な役割を果たします。 又神経組織の興奮性にも影響し、電解質とPH平衡の維持に重要です。 ナトリウム-カリウムATPアーゼ ポンプの一環でもあり、細胞膜を横断して栄養素の輸送を助けます。 ナトリウムとカリウムが関与する特定の障害の防止や、身体機能の向上には、カリウムとナトリウムの比率を4対1に保つ必要があります。 ラシックス(lassix)や、アルダクトン(Aldactone)などの処方箋利尿薬を使っているボディビルダーもありますが、これらはカリウムを消耗させ、筋肉の痙攣を引き起こします。特に利尿薬を使用している場合は、カリウムが筋肉の痙攣の軽減や防止に役立ちます。 カリウムを含む食品は、バナナ、オレンジ、もも、ジャガイモなどがあります。 ボディビルダーは痙攣を防いで筋収縮を促進する必要があるため、カリウムのRDABは1日2400~4000mgとしましょう。

塩化物 は細胞外液に最も豊富に見られる負イオンです。 負電荷がナトリウムイオンの正電荷を中和するので、電解質のバランスに重要です。 また、胃の塩酸の生成に必要とされます。 除脂肪体重の増加に直接関与するという研究結果はないので、ボディビルダーにとって高用量を摂取する必要性はないと思われます。 塩化物は魚介類や牛乳に多く含まれています。 RDABは1日1800mgとしましょう。

はヒトの身体にとって、非常に重要な微量ミネラルです。 鉄の形態のうち、ヒトの体内と食物の中で安定した状態を保つのは、第一鉄(Fe+2) と第二鉄(Fe+3)の二つしかありません。 食品に含まれる鉄分には、ヘムと非ヘムの二つの型があります。 ヘム鉄は主に牛肉、魚、鶏肉に含まれており(24)、非ヘム鉄は、ナッツ、フルーツ、野菜などの植物性食品に含まれています。 牛乳や卵の鉄分も非ヘム鉄です。 ヘム鉄と非ヘム鉄の違いは、非ヘム鉄は普通食品の成分に結合しており、加水分解しないと吸収されない事で、ヘム鉄は非ヘム鉄より吸収性に優れています。 鉄分は、体内の細胞に酸素を輸送し、二酸化炭素を肺まで運んでその排出を助けるヘモグロビンとミオグロビンの必須成分です。 また、シトクロムの働きで、呼吸循環の電子輸送を助けるのも鉄分です。 鉄の欠乏は貧血を招いたり、赤血球またはヘモグロビンの減少を引き起こします。 アスコルビン酸は鉄の吸収を促し、酵素機能のための適切な状態に維持します(25)。 アスコルビン酸(ビタミンC)1gを一緒に摂取すれば、鉄(特に非ヘム鉄)の吸収を高めます。 赤身の肉、貝、牡蠣などが鉄を多く含んでいます。 女性は男性よりも貧血を起しやすいので、女性用のRDABは1日30mgとします。 男子ボディビルダーの鉄分RDABは1日25mgとしましょう。

亜鉛はヒトのすべての器官と組織に存在しています。 金属酵素の構成要素としてタンパク質の構造を保護します。 亜鉛は他のどの微量ミネラルよりも多くの酵素系に関与しており、生体の基本的なプロセスの数々に影響を与えます(26)。 遺伝子発現、細胞複製、細胞膜安定化などに関与し、インスリン、テストステロン、成長ホルモン、エストロゲンなど多くのホルモンの構造的役割を担っています。 また、前立腺を縮小させることも解明されています(27)。 亜鉛の欠乏は感染や、ある種の皮膚疾患に対する感受性を高めることがあります。 亜鉛は、抗酸化物質としての作用もあり、免疫機能を支持するとともに(28)体内でのビタミンAの機能を助けます。
牡蠣、牛レバー、小麦胚芽などが、亜鉛の豊富な食品です。 これで、特にボディビルダーにとっての亜鉛の必要性が確認できた事と思います。 亜鉛のRDABは、1日40mgとしましょう。

は、抗炎症の過程や、結合組織の生合成などの重要な反応における酵素活性化物質です。 銅の量が、ニューロペプチド、エンケファリン、およびエンドルフィンのレベルに大きく影響します(29)。 銅と亜鉛は拮抗的な関係にあります。 別の言い方をすれば、銅と亜鉛はお互いに競合し、対抗するという事です。 ですから、銅は亜鉛と一緒に摂取しないで、別々の時間に食事と共に摂取するように薦めています。 銅の豊富な供給源は、レバー、貝や甲殻類、全粒穀類などです。 ボディビルダーにとって、余分に摂取しても益にはなりませんが、欠乏すると障害を起します。 RDABは1日4mgに設定しましょう。

セレニウムは、グルタチオン ぺルオキシダーゼ(超強力抗酸化酵素)の重要な共同因子です。 シトクロム p450システム、膵臓機能、免疫系の機能(30)、DNA修復と酵素活性化、そして重金属の解毒などに関与しています。 また、ヨウ素の代謝にも必要となります。 セレニウムは肝臓において、甲状腺ホルモンがチロキシン(T4)からトリヨードサイロニン(T3)へ変換する時に作用します。甲状腺ホルモンの活性型がT3です。 ボディビルダーは、脂肪減少のために、甲状腺ホルモンの分泌を刺激しなくてはなりません。 ダイエット中に甲状腺ホルモン分泌を刺激するため、シンスロイド(Synthroid)やサイトメル(Cytomel)のような医薬品を使うボディビルダーもいます。 セレニウムはインスリンをミミック(摸倣)する作用もあります(31)。 食品のセレニウム源には、穀類、肉、鶏肉などが含まれます。 上記の機能を考慮すると、ボディビルダーはRDA推奨量(1日70mcg)以上のセレニウムが必要と思われます。 RDABは、1日200mcgと決めましょう。

クロムは、インスリンがその受容体と結合するのを助けるグルコース許容因子の生成を促進して、インスリンの機能に寄与します。 この作用は、細胞のグルコース取り込みと細胞内の炭水化物と脂質の代謝に作用します。クロムは、リポタンパクリパーゼの活性に作用して脂質の代謝に関与すると考えられていますが、コレステロール代謝にも関わっている可能性があります(32)。 クロムはまた、 in vitro(試験管内)でのDNAに指示される RNA合成を促進させます。 クロムはインスリン抵抗を減少させる可能性があるので、ボディビルダーはクロムを欠乏させない様にするべきです。 血中脂質プロフィールを改善し、脂肪の減少に役立つという研究結果も出ています(33)。 クロムを含む食品には、シナモン、ビール酵母、きのこ類などがあります。 この様な要因があるため、RDAは1日400mcgとしましょう。

ヨウ化物
の主な機能は甲状腺によるホルモンの合成です。 甲状腺ホルモンは、基礎代謝率、酸素の消費、熱生産を刺激します。 欠乏すると、甲状腺肥大の原因となり、甲状腺腫と呼ばれる病態を発症します。 魚介類、ひまわりの種、きのこ類には、ヨウ化物が多く含まれています。 ヨウ化物のRDABは、1日170mcgとしましょう。

マンガン
には、酵素活性化物質と、金属酵素の構成成分としての両方の機能があります。 欠乏すると成長に障害を来たします。スーパーオキシドジスムターゼ (SODは強力な抗酸化剤です) の活性を強めますが、これは回復の過程を速めると思われています。 マンガンを含む食品には、小麦ふすま、豆類、ナッツなどがあります。 欠乏しない様、RDABは1日20mgとします。

モリブデン
は、キサンチン デヒドロゲナーゼ、アルデヒド オキシダーゼ、キサンチン オキシダーゼ、および亜硫酸オキシダーゼの4つの金属酵素の共同因子です。 これらの金属酵素は、ヒトの体内の多くの異なる反応に作用します。 大豆やパスタにはモリブデンが含まれています。 欠乏を防ぐためにRDABは、1日200mcgに設定しましょう。

フッ素またはフッ化物(フッ化物は、フッ素が金属、非金属、または有機化合物と結合したもの)の主な効果は、骨と歯の鉱化作用に関連し、骨吸収を減少させる事から、骨粗しょう症の治療に使われています。サバやいわしなどの食品に含まれています。 RDABは1日4mgとしましょう。

シリコン
は、骨、結合組織、そして軟骨の形成に重要な役割を果たします。 骨の鉱化作用を速めるだけでなく、成長促進の効果があります。 コラーゲン合成に好ましい効果があり、グリコサミノグルカン(関節周りの液体の構成成分)の形成に必要とされます。 シリコンは多くの植物性食品に含まれています。 ボディビルダーは高強度のトレーニングで、関節に負担がかかることもあるため、シリコンは重要なミネラルです。 RDAB は1日20mgとします。

バナジウムは、すべての生体の健康な組織に存在します。 水溶性と同時に、脂溶性でもあります。 バナジン酸塩は、バナジルの3倍から5倍の効率で吸収されます(34)。 バナジウムはインスリンをミミックしますが、これはグルコースの細胞内取り込みを刺激し、グルコースの代謝を促進してグリコーゲンを合成する事を意味します。 バナジン酸塩は血中のグルコース値をコントロールする事が知られています(35)。 バナジルは筋肉細胞内へのクレアチン取り込みを増加させる可能性もあります(36)。 筋肉細胞中のグリコーゲン貯蔵を増加して、筋肉中のタンパク質を使わずにエネルギーを発生するので、ボディビルダーにとって都合の良いミネラルです。 トレーニング中のパンプも良くなります。 バナジウムは食品には余り含まれていません。 バナジウム、できればバナジン酸塩、のRDABは1日10mgとしましょう。

ホウ素は、骨の組成、構造、強さに影響します。 また、カルシウムのような特定のミネラルの代謝に関与します。 ホウ素はフルーツや野菜に含まれています。 RDABは1日3mgとします。

RDABは、ボディビルダーにとって、どの位のビタミンやミネラルを摂取するのが適当かの目安となる量を提示したもので、推奨摂取量です。 RDAB推奨量以上の量のビタミンやミネラルをサプリメントする場合も多くあると思います。 RDABは、特定のビタミンやミネラルの欠乏を防ぐと共に、ボディビルダーのパーフォーマンス向上のために設定したものです。 体重、性別、そしてエクササイズの強度などが、ビタミンやミネラルの摂取量を決める要因になります。市場には上質のビタミンやミネラル フォーミュラが出回っていますが、サプリメントが体内で利用できるように吸収されるかどうかを調べる方法の一つとして、酢に浸ける方法があります。 酢をいれたポリ袋にビタミン剤を浸しておき、一時間以内に溶解すれば、それは有益な製品であると言えます。 胃のpHは約3で、その値は酢と同じです。 多くの主要栄養素は、小腸の最初の部分で吸収されるので、ビタミン剤が小腸のその部分に到達するまでに溶解していれば、速やかに吸収されて、体内で利用されます。 RDAは、正常な成人における栄養素欠乏の防止には適切な基準ですが、RDABは、ボディビルダーの様な並外れた人達のための、優れた栄養摂取基準です。 ビタミンやミネラルの欠乏は、ボディビルダーには痛烈な被害を及ぼすことがあるので、サプリメントをきっちり摂り、トレーニングに励んで、栄養のある食事をする事が大切です。


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